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遠隔操作の実績と評価
最新版 '24/03/07
初版 '16/03/03
All rights reserved JA3OOK 中村 利和
2014年3月から遠隔運用を始めてから2年経過したので、その間のトラブルや利用状況を
まとめ、感じたことを記した。
トラブルやシステム変更などのうちで重大な事項について、二年後も継続して追記します。
目次
a 遠隔システムの構成の要点
b 遠隔での操作性とQSO実績
c 円滑な遠隔運用に必要なことのまとめ
d 致命的トラブル
e 軽微なトラブル
f たまに発生するうっとうしいトラブル
g 遠隔操作とは無関係の重大 または 気になるトラブル
a 遠隔システムの構成の要点
送信所
主要ハード および 遠隔操作でできること
TS-590S+アンテナは160mバンドから10mバンド
+当初はベアフット 2014/10からFL-7000
2015/6からIC-PW1
TS-590SからTS-590SGへ取換(2017/10)
リニアアンプとアンテナ同軸の自動バンド切替(ABS:TS-590に連動)
リニアアンプの遠隔電源ON/OFF および アンプ動作の遠隔ON/OFF
ローテーターの遠隔回転操作(リレー基盤)
操作所でのVFO回転操作による周波数調整
PCは普通のデスクトップ型
PC電源の遠隔ON/OFF および PCフリーズ時の遠隔再立ち上げ
IPリモコン(IP POWER その後 PIC-NIC)
IOデータの無線LANルーターとIOデータのダイナミックDNSサービス
防犯システム
CW送信(定型文)
主要ソフト
ARHP590(KENWOOD製)
Skype → Brynhildr(ブリュンヒルデ)に変更(2018/09)
通信ソフト(JTDX、WSJT-X、MMTTY、HAMLOG、JT_Linkerなど)は送信所PCで動作(初期は操作所PC)
インターネット
CATV(ZAQ) 2021年からは光ケーブル(ZTV)
操作所
主要ハード
PCは小型ノート+外付け第2ディスプレイ(19型)
その後 +外付け第3ディスプレイ(24型)
主要ソフト
ARCP590(KENWOOD製)
Skype → Brynhildr(ブリュンヒルデ)に変更(2018/09)
通信ソフト(JTDX,WSJTなど) → 送信所PCで動作に変更
インターネット
eo光 ホームタイプ 最大100Mbpsコース(ケイ・オプティコム)
→ 2016/08に1ギガbpsコースに代えたが違いは感じない。
システム構成や実現方法の詳細は下記をご覧ください。
・無線局遠隔操作
・PW1バンド自動切換ABS
・PW1のスイッチを遠隔操作
b 遠隔での操作性とQSO実績
1 送受のタイミングに目立った遅れなし。スプリット運用で追っかける場合の操作性も問
題なく、SSBやCWでのDXハンティングやコンテストでも実用性十分。
ただし、私の設備ではコンテストでのランニングは無理です。
なのでDXは
SSBは録音済みの音声(TS-590オプションのVGS-1)
CWは事前設定文字(ARCP-590のKey画面)
でQSO。
2 d項以降のトラブルはあったが、リグやリニアはもちろん、送信所PCや自家製遠隔操作
機器、インターネットの信頼性は十分あり実用できるレベル。
3 2年間の遠隔操作実績
総遠隔QSO数 875
相手別 海外 711 国内 164
モード別 CW 700 SSB 71 RTTY 102 PSK 2
詳しくは、
4 2年間の遠隔操作でQSOしCFMできた珍しいエンティティ
6Y、9G、A9、CU、D4、FS、GJ、GU、KG4、KP2、KP4、P4、PJ2、PJ5、S0、ST、SV/A、TT、
V2、V5、VP2/E、VP5、VP8/F、VP8/G、ZD9など
c 円滑な遠隔運用に必要なことのまとめ
前記のように遠隔操作で沢山の局とQSOしパイルアップへも参加し楽しんできました。
そのための遠隔運用に特有のこととして重要なことは、レスポンスが速いこと、クイック操作
ができること、できるだけ送信所へ行かなくても済むことだと思います。
音声伝送の遅延をできるだけ少なくすること
・リグと送信所PC間の伝送をアナログ(ACC2とPC音声AUX入出力)で行うこと。
USB伝送だとアナデジ/デジアナ変換が伴い必ず遅延するので使わない。アナログ伝送とUSB
伝送を聞き比べれば遅延が明白。
・Skypeを使っているが遅延がとても少ない。同一局を遠隔操作所でも聞いて比べれば明白。
(遠隔操作で聞こえている局を、操作所のアナログリグTS-830でも同時に聞いて比べても、
遅延が殆ど気にならない)
Skypeを止めてBrynhildrに変更。(2018/09)
Skypeは自動バージョンアップされるので、使い勝手が悪くなっても元のバージョンにもどせない。
(特に影響があるのハウリング防止機能の仕様変更で、安心して送信音声を送れない)
パイルアップやDX局からのスプリット指定に遠隔操作で素早く対応できるリグと遠隔システム
であること
・送受共に音声やCW信号の遅延が少ないこと
・送/受の切り替えレスポンスが早いこと
・DX局が指定している周波数にすぐに出られること
・その周辺の周波数をワッチして応答している局をさがすこと、空き周波数を見つけること
が素早くできること
その点、KENWOODのARHP-590やARCP-590はよくできている。
送受の切り替わりが速いし、VFO-A、Bともに周波数の任意の位での左/右クリックで素早く
周波数変更ができる。
遠隔操作とは限らないがオートスキャンもワッチに重宝。
バンド変更が素早くできること
・リニアアンプのバンド変更
・アンテナのバンド変更
TS-590のバンド変更にPW1やアンテナが自動的にスムーズに追随する。
PW1やFL-7000が真空官アンプと違ってバンド変更後即座に電波が出せることも素晴らしい。
画面は大きいほどよい
・ 操作所PCに第2、第3ディスプレイを付加。
送信所PC〜操作所PC間を簡単な操作でファイル送受信
HAMLOG.HDB等の伝送を一日に一回は行うので簡単な操作で行いたい。
Brynhildrは満足である。
ルーターやインターネット系のトラブルを防ぐ配慮(送信所にはできるだけ駆けつけたくない)
・ルーターとPCは無線LANで接続
(PCとリグを銅線系で接続することは仕方なし)
・IPリモコンと遠隔操作用機器、PCはフォトカップラーを介して接続
(ルーターとIPリモコンを銅線系で接続することは仕方なし)
この目的は、ルーターなどのインターネット系とPCを含むリグ系は銅系で接続しないで高周
波から切り離す配慮。大パワーが原因でルーター系が誤動作したり壊れたら遠隔操作には致
命的トラブルとなる。
同軸ケーブルへのコモンモードフィルターの取りつけなど高周波回り込み対策も十分に実施
しておくこと。
d 致命的トラブル
1 遠隔操作不能 現地へ行き、IP POWER の故障を確認→PIC-NIC に変更(2015/03)
2 遠隔操作不能 現地へ行き、ルーターの不調を確認→ルーター再起動で復旧(2015/07)
3 ABSが動作していない 現地へ行き、ABSのPICの足のソケットとの接触不良を確認(2016/02)
→ 今度作るときはソケットは使わず半田付けを採用しよう → 半田付けに変更済み
これら1,2 は現地へ行かないと根本調査ができない=当たり前のことだが心理的にも手間も大変。
幸いに送信しっぱなしになる現象は経験なし。
4 '20/08/15 遠隔操作でPC電源が入らないトラブルが発生
軽微なトラブルもほとんどなく安定動作していましたが、久しぶりの重大トラブルです。
→現地へ行き、自作の「PC-PWR-SW UNIT」内のトランジスタ 2SC1815 の故障を確認
(無線局遠隔操作 の4.e項に記載の PIC16F88-I/P が搭載された基板のトランジスタ)
→トランジスタ交換と動作確認で完了。
→'20/08/23追記 2SC1815故障の根本原因は、「PC電源制御アンテナ回転制御回路」
(同様に4.d項の回路図「電源系統、アンテナ回転制御回路図」内の右上)
の RL2 の電磁リレーコイルにダイオードを並列に接続していなかったから、と推定し、
追加した。 RL3、RL4 へも同様に追加した。
→'20/09/09追記 IPリモコンから PC PWR 信号が来ていることを目で確認できるように、
「PC電源制御アンテナ回転制御回路」に赤色LEDを追加した。
(将来、類似のトラブルが発生した時に、調査を容易にするため)
5 '20/11/19 送信しっぱなし、3分後に受信状態へ自動復帰
7メガFT8で発生。TXは送信状態のままだがキャリアーは出ていないので送信パワーはゼロ。
TXの設定で「連続送信を最大3分」に設定してあるので受信状態へ自動復帰した。
リモートデスクトップで調べるとリグとARHP(KENWOOD製のホスト側PCのリモート用ソフト)との
接続が切れていて、VSPE(COMポート共用ソフト)の状態を調べると、リグとVSPEの接続にエラーが
発生していることが判明。
→応急対策 (念のためにPW-1の電源を切ってから)PCを立ち上げ直して復旧。
→根本対策
原因は、PCのUSBへの高周波の回り込みと判断し、リグ〜PC間のUSBケーブルにパッチンコアを
セット。
その後にも同じ現象が発生することがあり、雨が降っている場合に発生しやすい気がする。
コアーを増やしたが、それでもたまにある。
DELLからEpsonに交換してから経験するトラブル。PCのハードウェア設計又は実装の違いによる
弱点であろう。
TXの設定での「連続送信最大時間」はとても有益である。現在のリグは最小3分であるが、FT8の
運用が多いので1分の設定ができればベストである。
6 '21/06/15 遠隔操作でPW1のSWを押せないトラブルが発生
久しぶりの重大トラブルです。
ビデオ画面を観察すると、
・板バネが2枚とも全く動いていない。(PW1の電源SW用とPW1のAMP/PROTECTSW用)
・動作状態表示用のLED(PICで表示)は、遠隔操作に合わせて正常に点灯し滅灯
する。
この状態から、
ネットワークからPICまでは正常。PICの先のドライバーICからサーボモータが怪しい。
ドライバーICは軽い負荷で使っているので壊れることはないだろう。
一番疑わしいのは「サーボモータ」。
→事前準備
サーボモーターの予備が無いのでインターネットで発注(EMAX社製 ES08MA U)。
次の測定器と部品を準備(念のため)。
・サーボー制御信号測定のためにオシロスコープ
・予備のドライバーIC(東芝製モータードライバー用IC TA7291P)
→現地作業('21/06/18)
PIC搭載制御基板のコネクターに新しいサーボモーターを挿すと、案の定、正常な音
でモーターの軸が回転する。これでモーターの故障が確定。
新しいサーボモーターに交換したが、別の問題が発生、今までのカムをモータの
軸に挿せない、つまり今回購入したモーターの軸がほんの少しだが太い!
しかたなく、今回購入したモーター付属のカムに玉チェーンを取り付けなおして、
チェーンの長さとプーリーの位置を調整し、修理完了した。
写真は歯車部分。 ギャは問題ないが、モーター自体(写真一番下の小さい歯車)の
回転が異常に固い。
感想
故障したサーボモーターは2015年6月から使い始めてちょうど6年、ほぼ毎日、
良く働いてくれました。お疲れ様でした。
モータ交換自体に要した時間は10分ほど。しかし、新しいカムへの玉チェーン
の取付と調整に40分ほど要した。
同じ型番のモーターが今も販売されていたことは有難いが、軸径が変更されて
いなければもっと良かったのに。
e 軽微なトラブル
1 操作所から送信所のPCやSkypeやARCPにつながらない→数時間後に自然復旧(2015/11)
2 Skypeの動画が30秒ほど経過しないと変わらず(不思議なことにSkype音声に遅延はない)
監視に役立たない→送信所のPCを遠隔操作で立上げ直して復旧(2015/12)
Skypeはその後使用せず。
3 IPリモコン操作でPCの電源が入らない。(2023/08)
→対策
IPリモコンの 「PC PWR SW LONG」 を押してから 「PC POWER」 を押せば
電源が入ることが分かった。
→原因
自作の「PC-PWR-SW UNIT」の故障。
修理予定。
f たまに発生するうっとうしいトラブル
1 ARCPやリモートデスクトップが時々切断される。
→数秒後または十数秒後に自然復旧する。
2 IPリモコン(PIC-NIC)への指示のレスポンスが遅い、時々届かず切断される
→ログインし直せば回復
→プロバイダーがZTVに変わってから発生せず。
3 PW-1の 自動バンド切替が動作しない
しかし、リグのバンドを切り替えに応じてABSのバンドのLED表示が正しく切り替わる。
遠隔PCを立ち上げ後にだけ発生する時がある。(たまに1〜2カ月に一回程度)
→対策
PW1とリグの電源を切り(ARHP画面の電源ボタン)、リグとPW1の電源を入れ直す。
(PCの再立ち上げは不要)
原因はABS〜PW1間の問題である。
g 遠隔操作とは無関係の重大 または 気になるトラブル
遠隔操作特有ではないですが記録として書いておきます。
1 2018/12 PW-1 PAバランスくずれ
この頃から発生。500W出力程度でもたまに発生するようになってきた。
PW-1は2014年10月新品購入.
→電源を入れ直して再開。 パワーを少な目で運用。
2 2015/01 ガス風呂給湯器の電源が入らない
給湯器の操作部を操作しても何の反応もなし。
160mバンドを運用しだしてから時々発生。パワーを出す(1kWとか)ほど発生する。
→160mバンドのエレメントを給湯器から離すほど発生しにくい。
給湯器のAC電源にトロイダルコアーを入れても根本解決にはならない。
→復旧方法
給湯器への電源ブレーカーを入れ直すと正常に戻る。
(勝手な想像だが、電源投入で給湯器のCPUがリセットされ復旧するのではないかと思う)
ガス風呂給湯器は新品。(2014年に設置)
3 2020/02 PW-1 故障
バンドやドライブ電力に関わらずアンプ部分が全く動作しない。
→ICOMリペアーセンターへ修理依頼し、発送。
PAバランスくずれの修理も依頼。
→1ヵ月半後 修理を終えて帰ってきた。
故障個所は バリコンの羽根が溶けてショート、リレー焼損。
PAのICも交換。
→故障原因で思い当たることは故障直前の操作で
「バンドチェンジして、すぐに40W程度(800Wアウト)でドライブした」ことかな?
これからは、バンドチェンジしたら
「必ずPW-1のバンドが変わったことをバンド毎LEDで確認し、
5W程度のドライブからチューニングを始めよう」
4 2023/11/13 TS-590SG PLLアンロック
このリグ初めてのトラブル。 TS-590SGは2017年10月新品購入。
→リグの電源を入れ直して再発せず。
ARCP(操作所側の遠隔ソフト)を動作させている状態で、このメッセージが操作所PC画面に表示されました。
もし動作させていなかったらどのような表示になったのでしょうかね。
KENWOODのサービスセンターへ送って修理し快調。(修理日数も10日ほど)
5 2024/01/21 リレーボックスの中のリレー1個が故障
24メガで運用中突然SWRが高くなり運用できなくなった。他のアンテナは正常。
調べてみると、タワー下部に設置してあるアンテナケーブル切換リレーボックスの中のリレー1個が故障。
交換して修理終了。
詳しくはアンテナケーブル切換リレーの故障を参照
6 2024/01/29 PW-1 故障
特別、無理なことはしていないのにIDランプとAMP/PROTECTランプが点滅しっぱなし。
METER-1、ANT-1,-2が点灯しないのは前からの現象。
ICOMレペアーセンターへ発送。(02/13)
→故障個所の説明と見積もり。(02/29)
電源ユニット内の電解コンデンサーが破損。慎重を期して電源ユニットを交換がよろしい。
→修理を終えて帰ってきた。(03/06)
思いのほか早い帰還だった。
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