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試作 160mバンド 受信用・巨大・MLA(マグネチック・ループ・アンテナ)
Ver.1.1 '16/12/25
Ver.1.0 '16/12/01
JA3OOK 中村 利和
160mバンドの受信用・マグネチック・ループ・アンテナ(MLA)を製作しました。
スローパー(SLP、送受兼用)の3代目と聞き比べましたが反省点が多いので表題を試作としました。
試作1 巨大MLA
a全体像とマッチング方法
MMANA(文献1)で設計しました。左図が全体像、右図が下部の給電位置の拡大です。
総エレメント長は26mにもなります。
給電とマッチングの位置は右の図で、
○印が給電位置
×印がCの位置(3箇所)
です。
MMANAでの計算によると、
エレメント間のCが 94.5pF 給電位置につながるCが 各 132pF
の場合に
R 53Ω jX -1.7Ω 50Ω給電においてSWR 1.07
となりました。MMANAでの定義ファイルがこれです。
エレメント長などを変更して机上実験してみてください。使用している MMANA は Ver1.77 です。
上記の C を3個使うマッチング方式は JH1GVY さんがWeb(文献2)に記載されている
容量分割法です。
この方式の元々の原理は何なんでしょうか? 私は、文献3に記載されている「ハイパス型の
Lマッチ」かな? と考えています。
bエレメント線材
手持ちの有り合わせの線材を使いました。
上図の一番高いエレメントの中央部分をサガ電子工業のAW-3.5 導体径2.4mm を6mほど使用
し、その他の部分は導体径 1mm弱のビニール被覆撚り線です。
cバリコン
オークションで買ったり友人から譲ってもらったバリコン3個。送信機用、受信機用が混在。
最大容量は150pFから200pF前後。
d構造
上図の上の水平部分はグラスファイバーの釣竿2本に線材を沿わせています。その釣竿を鉄
製タワーの10m位置にくくりつけてあります。その場所のエレメントはタワーから離すよう
にしていますが、3cmくらいに接近しているところが3箇所あります。エレメントと鉄材の
角度は約90度と約45度です。
釣竿の両端から垂れ下がったエレメントは、2階の部屋の外壁に開けた穴から室内に引き込
み、その引き込みの長さが80cmほどでバリコンにつなげてあります。
バリコンからリグの受信専用端子までは30cmほどの同軸ケーブルです。
e調整
おおまかな調整は受信したい周波数で、ノイズが最大になるように3個のバリコンをそれぞ
れ回してOKでした。とてもブロードです。
最終的な調整はSWR計(WELZ SP-350)とリグをつなぎ数ワットで送信して調整しました。アンテ
ナ・アナライザーがあれば使えると思います
周波数 1.811 1.818 1.824 1.910
SWR値 1.10 1.02 1,01 3.8
数ワットでの計測なので良いほうに出ているはずです。割り引かないといけませんが、予想
外に良い値で、有効範囲も広いので驚きました。
次の図は MMANA での SWRカーブです。
計測値と大きく異なっています。JH1GVY さんの記事でも帯域が狭いとの記述があります。
違いの原因は今のところ分かりません。
追記(2016/12/25)
SWRアナライザー(MFJ-259)で測定しながらバリコンを回して最良点に調整しなおしました。
周波数 1.811 1.818 1.824 1.910
SWR値 1.7 1.5 1,05 4
です。
帯域が狭いですね。
以前の測定では帯域が広かったのはSWR計を使い数ワットで計測したからだと推測します。
f使用感
従来からのSLP・3代目と比較しました。使用したリグは KENWOOD TS-590S です。10日間ほどの
朝夕の比較です。(新しく報告すべきことが明らかになれば追記します)
・ノイズレベルがSLPよりSメーターで2ほど下がります。
そして、ノイズレベルのピークが特に下がるように感じ、朝方より夕方がノイズレベル
が高いので顕著です。
・目的信号のレベルもS2ほど下がります。
・聴く方向(EU、NA、OC等)による上記2点の違いは感じません。
・全体傾向としては、殆どのばあいSLPの方が良いです。
唯一MLAの方が良かったのは 夕方の ZL7/W1XGI の場合で、プリアンプONが聞きやすか
ったです。SLPとほんの少しの違いです。MLAのおかげでQSOもできました。
全体の感想としてSLPの方が良く、MLAの方が良い場合は特殊なケースだと思いますが、しか
し、次項の反省点もあり、現在のMLAでの比較結果であって、MLAは耳が悪いとの結論を出すの
は早計だと思います。
g反省点
今回のMLAは、次の点でMLA本来の性能を発揮すべき条件(主に文献4)を満足していません。
・おまりにも大きいので、
MLAが持つ目的周波数以外の信号やノイズを排除する能力を発揮していない。
・エレメントが細いので、
放射効率が悪い。
・真円とは程遠い形なので、
放射効率が悪い。
・実際に架設された形が左右対称ではないし、片方は特に家屋にちかいので、
対称性や平衡性に問題があり、ノイズを拾っている可能性が高い。
・実際に架設された形でも割と平衡なアンテナに不平衡な同軸ケーブルで給電しているので、
ノイズを拾っている可能性が高い。
・エレメントが鉄製タワーに接近しているので、
タワーからノイズを拾っている可能性が大きい。
・部屋への引き込みの部分が送信同軸ケーブルやローテーターケーブルと接近しているの
で、
ここでもノイズを拾っている可能性が大きい。
・回転できないので、
MLAがもっている指向特性を生かせず、信号のピーク方向やノイズのヌル方向を
探れない。
・バリコンと線材との接続箇所の抵抗を減らす工夫をしていないので、
放射効率が悪い。
これら反省点をもとに検討を続けます。
追記 2017/01/20
その後、まあまあ聞こえるスローパー(4代目)ができましたので検討を中止します。m(-.-)m
参考文献
1 JE3HHT MMANA
2 JH1GVY マグネチック・ループ・アンテナ開発レポート
3 山村 英穂 トロイダル・コア活用百科 の応用編第1章
第11版 1991年2月20日 CQ出版社発行
4 MLA48プロジェクトのWebに載っている VK5KLT 訳者 JG1UNE 過小評価されているマグネチック・ループHFアンテナの概要
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