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スローパー アンテナ and ウィンドム型スローパー
・3.5メガと7メガのスローパーアンテナの架設
・それら二つのスローパーの動作をMMANAで検証
・端寄りから給電するスローパー(ウィンドム型スローパー)
・1.8メガのウィンドム型スローパーの架設
・八木が増えたことによる3.5の再調整と7のウィンドム・スローパー化
・1.8メガを普通スローパーに変更、7の再調整
・7メガを普通スローパーに変更
初版 '13/02/20
Ver.2 5.項を追記 '13/03/03
Ver.3 6〜9.項を追記 '13/04/06
Ver.4 10〜12.項を追記 '15/01/30
All rights reserved JA3OOK 中村 利和
160mバンド(1.8/1.9MHz)スローパーの最新報告は
飛ぶ 160mバンド(1.8/1.9MHz)スローパーアンテナの秘訣 をご覧ください。
ローバンド用アンテナにスローパーアンテナを採用
タワー用アンテナには、14メガ以上は八木アンテナが最適! では 1.8メガ、3.5メガ、7メガ
は何にするか?
私の狭い土地ではスローパーが良さそうだが、手持ちの年代物のアンテナハンドブックには
載っていなく、インターネットで色々(各OMの記事 出典1 JL4ENS、2 JA4LXY、3JA0OS など)調査し、
結局ローバンド用アンテナにはスローパーアンテナが良さそうで、その要点は
・自立型タワーであること(ステーが張ってあっても導体でないこと、クランクアップ型は問題多い)
・タワー上部にはHF八木など大きめのアンテナが載っていること
・斜め下方向に下ろすエレメントは直線でなくて折り曲げてもOK(=狭い土地でもOK)
のようなので、私の環境でも使用できそうである。
ちなみに私の環境は、
・自立型タワー 15m
・18mの高さに28メガの4エレ八木
(後日、16mの高さにデュオバンダ14/21メガ4エレ八木を仲間の協力を得て追加)
・近隣には建物なし、高い立ち木もなし
1.3.5メガ スローパーアンテナ
1.8メガの前に、まずは、3.5メガ用を架設する準備にかかった。とは言っても大したことではなく、
次の材料を用意。
・エレメント線
サガ電子製 アンテナワイヤー AW-3.5(導体外径2.4mm)
(帯域幅を広くするためになるべく太い線を使いたいから)
地上近くでの引き回し用に細めのビニール線(導体外径1mmほど)
・波型碍子
サガ電子 ABS樹脂製波型碍子
・50Ω同軸ケーブル(5D-2V)20m
・地上近くを引き回すための支柱としてグラスファイバー製釣竿(中古で充分)
エレメント長を何mにするかが問題! 記事の事例によって長さ色々(出典1、2、3など)
で定かでない。やはりこの類のアンテナはやってみなければわからない。
目標周波数が3.55メガの1/4波長とし、21mで始めよう。それでAW-3.5を14m、その先はビニール線
を7mほどとする。
同軸ケーブルの芯線をAW-3.5に半田付けし、外皮をタワーにボルトで止められるようにAW-3.5
の切れ端15cmほどにも半田付け。
波型碍子を間に入れて固定し、自己融着テープとビニールテープで防水処理して準備完了。
いよいよ架設作業を開始。
・タワートップに同軸外皮側を接続。つまり、エレメントを下ろす方角を定めて、タワー
トップのその方角位置のボルトにナットで固定。
・エレメントを下げる角度や敷地内の引き回しは、手元に延長したSWRメーター(注1)を
見ながら、試行錯誤。
測定するときだけ電波を発射! パワーは最小限で!
・なかなかSWRが下がる位置がみつからない。そこで思い出したのが160mバンドの事例(出典
2)で、タワー基部から3mの位置にタワートップから急角度で引き下ろしていたこと。予
想外に急角度。
それにならって基部近くを探るとSWRが2.5くらいにガクンとおちた。そこから色々な引き回
し箇所を探ると2くらいに下がるところがある。
・ビニール線を手や地面に近づけるとさらに下がることを体験。周波数を調べると3.8メガく
らいに同調している模様。
エレメントを何回かに分けて継ぎ足し、試行錯誤し、やっと1.2まで下がった。
私にとっての新発見:アンテナに手を近づけてSWRが下がる場合は
長さが不足しているのだ! 覚えておこう!
・結局、エレメント長は約23.5m(1/4波長の約1.1倍)で落ち着いた。
・3.5メガのダイポールアンテナが同時に上がっていると50KHzほど同調周波数が上にずれるこ
とも確認。影響しあうので上げないでおく。
このアンテナの成果。
・上記ダイポール(給電点は11mH。上から見て大きなくの字型)との比較
KH2(グアム) 受信のS 2〜3良い
国内の局(関西〜北海道) 受信のS 顕著な差はない
そのご埼玉の局と交信しSが1つ良いとのレポート。こちらの受信では顕著な差はない
同じ府県の40kmほど離れた局 受信のS 4〜5悪い
・ARRL International DX CW Contestで試用
まあ飛んでいる
・帯域幅が予想以上に広い
3.5メガから3.7メガまでくらいがSWR1.5の範囲に収まっている
2.万全の高所安全対策を! <余談だが大事なこと>
タワー作業での安全確保に安全ベルトと命綱を必ず使うことは言うまでもないこと。さらに、
写真の「ロリップ」も使ってタワー昇降時の安全を確保している。縦のロープは母線や親綱といわ
れているロープ。母線上側のフックを鉄パイプなどに引っ掛けて固定しておき、手に持っている
フックを腰の安全ベルトに固定しておく。
ロリップも母線も藤井電工製。(ロリップは藤井電工の商品名?)
3.7メガ スローパーアンテナ
3.5メガのスローパーアンテナの出来栄えに気をよくし、ARRL CW コンテストの二日目の午後に
7メガに着手した。
エレメントの長さは3.4メガの経験から1/4波長の1.1倍から開始。エレメント最下部でもタワーの
途中なので、調整のため何度もタワーに登る。ロリップがありがたい。
夕方が近づき、10.3m(1/4波長の約0.96倍)で一応良しとしたが、まだ長すぎるくらい。3.5メガ
は約1.1倍であり疑問は残る。
早速、コンテストで試用。なかなか良い。3.5より良好。コンデションの差もあるかな?
4.両バンドのエレメントの引き回し見取り図
これ(図1)は2バンド エレメントの引き回し見取図。
現在100W運用である。3.5メガの場合、引き回しのこの高さでも電波防護の基準(注2)に合格
している。しかし、1KWで運用する場合は引き回しの高さが足りない箇所があるので見直しが必要
である。
7メガの場合、1KWでも余裕で基準(5.8m)をクリアーしている。
5.MMANAを使ってのスローパーの検証
スローパーをインタネットで調べていて気になっていたのがJA3USAさんが紹介しているJA3AOP
さんの原稿(出典8)で、MMANAを使ってスローパーの電流分布を調べた記事。
昔、デルタループアンテナを建てたときに、同様のアンテナ特性計算ソフト「MMPC」を使っ
て設計したことがあり、この類には興味を引かれる。
使い慣れたMMPCスローパーを計算しようとしてみたが、スローパーに限らず接地アンテナの指定
方法が分からず計算ができない。私の無知でしょうが・・・
そこで、MMANA Ver1.77 をインストールし使ってみた。
MMANAはJE3HHTさんの力作ソフトの一つ。HHTさんはMMTTY、MMSSTVなど評価の高いソフトを作っ
ておられることでも世界的に有名な方である。
マニュアルを読んで試用してみて接地アンテナも計算できることが確認でき、アンテナエレメン
トの位置変更がXYZの座標指定以外に平面図や正面図でマウスドラッグでの変更や、SWRのグラフ表
示などができて使い勝手がとても良いことに感心。
HHTさんの技術力とハムとしての広く深い経験を生かして必要なことを実現する情熱に感服しまし
た。
次項以降で述べる色々なスローパーを計算していて気づいたことは、
「MMANAでのアンテナ定義で、XYZ座標を正確に指定することはもちろん、タワーの太さや上に載
っている八木などのアンテナサイズを出来るだけ忠実に指定することが重要で、計算結果に大きく
影響する」ことが分かった。
従って例えば、上に行くほど細くなるタワーは何個かの円柱に分けてそれを積み重ねたタワーに
模して定義し、たとえ直接計算の対称でないマストや八木のブームやエレメント一本一本の太さ、
長さ、位置もできるだけ正確に定義することが必要。
正確に定義することにより計算結果が現実のアンテナに驚くほど合ってくることに感心した。
a 3.5メガスローパーのエレメントの曲がりの影響は?
3.5メガのエレメントの折曲がりの悪影響が一番の心配ごと。それを調べるために、実際の引き
回しとほぼ同じようにアンテナを定義したものと、直線的にエレメントを引いたと仮定した仮想の
アンテナ定義をMMANAに入力し、計算した結果が次の図。(給電点の高さや地上近くへの引き落と
し位置は極力同じにし、SWRが近い値になるように仮想アンテナのエレメント長を調整してる)
図2 3.5メガスローパーの放射パターン図 図3 直線状エレメントを仮定した放射パターン図
これを見るとパターンやGainに顕著な差がなく安心した。
なお、パターン図の左上はエレメント長のメモで、現実の曲がりに近いほうが全長24.384m、
直線状が24.012m。曲がっているほうが長いことが分かる。試しにジグザグ(ノコギリ歯状)に引
き回した場合も長さが必要になることを確認している。
b 3.5メガと7メガスローパーの放射パターンは違うか?
図2 3.5メガスローパーの放射パターン図(再掲) 図4 7メガスローパー放射パターン図
図2と図4を比べると、
・3.5の方が最大放射仰角が低い! 波長を考えれば相対的に給電高が半分なのになぜ?
・Gainも低い
さあ どっちがDXやコンテストに向いているのか!
(なお、7メガのSWRの実測値は1.2程度であり計算2.07(図4)のほうが高い。アンテナ定義を
変えれば良くなるが実際のエレメント位置に擬してある)
図2と図4は垂直偏波と水平偏波の合算であるので、垂直と水平を分けたのが次の図。黒色が垂直
で赤色が水平。7のほうが水平偏波が多く出ていることが分かる。
図5 3.5メガスローパーの垂直と水平の放射パターン図 図6 7メガスローパーの垂直と水平のパターン図
c エレメント長が1/4波長に比べて、3.5メガは長く、7メガは短いが、何が要因か?
理由として考えられる大きな相違点は、タワーや八木の高さや大きさが波長に比べて3.5メガの
方が小さいこと。これを確かめるためにトップの八木を適当に大きくしてMMANAに計算させると
エレメントが短くて済むことが分かった。
つまり、これらの結果から
・タワートップの八木などが小さいほど長いエレメントが必要
・給電点が低いほど長いエレメントが必要
・エレメントが曲がっているほど長いエレメントが必要(a項参照))
と言えるだろうし、他にも建物や木立など周辺環境の違いもあるはず。
事例によって長さがさまざまな理由が納得できた。
私のタワーは普通より低い方だが1.8メガスローパーに挑戦したい。MMANAという強い味方もできたし。
6 端寄りで給電するスローパー(ウィンドム型スローパー)
狭い敷地や低いタワーでも3.5メガのスローパーが実現できたわけで、こうなってくると1.8メガ
もスローパーで実現したい。
3月中旬には14/21の4エレ八木も追加され、この条件で検討を進めることになった。
早速MMANAでスローパーの設計に取り掛かった。敷地条件の範囲内でアンテナを定義し、エレメン
トの引き下ろし位置や全長、引き回し方法をいろいろ変えてもSWRが下がる張り方が見つからない。
しかたなく敷地条件を無視して最善に設計してみてもSWRが1.41だ。
実際に架設したとしても1.41まで下げられるか分からないし、タワー根元からエレメント端まで
30m必要で実際に架設することは不可能。
SWRがこれ以上下がらない原因は給電点インピーダンスの実数部が35.521Ωで、同軸ケーブルの
50Ωから離れているからだ。私のタワーなどの条件ではエレメントをどのように工夫しても50Ω
前後に上がらないのだ。
エレメントの張り方以外の方法で50前後に上げることを考えないといけない。
・スタブを入れる方法
MMANAでスタブの設計もでき、やってみたが長さが非常に微妙。なので調整は必ず必要
で、タワートップでの調整作業は難しすぎる。
・インピーダンス変換トランスを入れる方法
これは良い方法だが1kWに耐えられるトランスに心当たりがない。
伝送路トランスという方法があるがとても長い同軸ケーブルが必要で非現実的。
悩んだ末にたどり着いたのが次のアイデア。
・一般的にワイヤーアンテナはワイヤー位置によってインピーダンスが変化することは「上級ハ
ムになる本」や「アンテハンドブック」に載っていて周知の特性である。
・この特性を利用しているアンテナ形式の例がウインドム。Y形整合もこの原理。
・スローパーでも給電点を先端方向へ探り、エレメント長や引き回しも同時に探れば、実数部が
50Ω前後で虚数部が0Ωの条件を見つけ出せるはず。
と考えた。
そこで先ほどの(広い敷地を使える)理想的スローパーの給電点をエレメントの先端方向へ少し
ずつ動かしてはエレメントの長さや高さも変える計算を繰り返し、実数部を50Ωに虚数部も0Ωに
近づけた状態のスローパーが求まった。
これを模式的な絵で示したのが図7であり、○印が給電点である。
図7 エレメント途中で給電するスローパー
つまり、
・給電点の片方のエレメントをタワーに接続
そのエレメント長は1/4波長の数分の1倍
・給電点のもう一方のエレメントは開放
そのエレメント長はタワーに接続するエレメントの数倍の長さ
・各エレメントの長さや両エレメントの合計長はタワーの高さや環境によって大幅に変化
が特徴である。
ダイポールアンテナなど原理的にエレメントが左右対称のアンテナでも、現実の調整作業では
左右のエレメント長や位置を少し非対称にした方がSWRが改善される場合があることは周知の事実。
しかし、ここで述べている給電位置は1/4波長の数分の1倍も離れた位置なのである。
このように本来のスローパーの給電位置より1/4波長の数分の1倍もエレメント端寄りで給電す
るスローパーアンテナが今まで公開されているのだろうか? そして名前がついているのだろう
か?
既に先人が名付けていれば従いたいが、私が調べる限りでは分からない。
アンテナハンドブック(文献12のP329)によると、中央から少しはずれた点から給電する方式
のアンテナをオフセンターフェッド(off-center-fed)アンテナといわれているとのこと。
それからいくとオフセンター給電スローパーとでも呼ぶことができるかも知れない。しかしこれで
は具体的方法を連想しづらいし、冷たい感じでもあり面白くない。
考えた結果、アンテナエレメント上のインピーダンスの分布を積極的に利用したアンテナの先駆
けとなったウィンドム・アンテナに敬意を表し
ウィンドム型スローパー(Windom type Sloper antenna)、
略する場合はウィンドム・スローパーと呼んではどうか。
この給電方式のスローパーアンテナの既に定着している名称をご存知の方は私まで
メールをください。その際、定着していることを示す資料を示してください。
アドレスは a_ja3ook@ktb.zaq.ne.jp です
スパム対策のために先頭に a_ をつけてあるので取り除いてください。
オリジナルのウィンドム・アンテナはWebでは 出典11が詳しい。
この原稿の中では普通のスローパーを「スローパー」または「普通のスローパー」と記述する。
(普通のスローパー:タワーとの接続部に接近した位置で給電する方式のスローパー)
敷地条件を無視した最善スローパーと、それをベースに実数部を50Ω、虚数部を0Ωにし
たウィンドム・スローパーの放射パターンが次の図。
図8 1.8メガ 最善スローパーの放射パターン図 図9 1.8メガ 最善ウィンドム・スローパーの放射パターン図
Gainや仰角の差は同じと言っていいくらいに極わずか! 実用上も差がないだろう。
エレメント全長を比べると31.44mと、31.37m(タワー接続部から給電点までが10.
02m、開放側先端までが21.35m)であり、ウィンドム・スローパーがわずか0.07m短い。
どちらも1/4λの約76%。エレメント長の違いによる架設作業に影響は無さそう。
次の図が両アンテナの形状と電流の分布。
図10 1.8メガ 最善スローパーの形状と電流分布 図11 1.8メガ 最善ウィンドム・スローパーの形状と電流分布
形状も電流電流分布も見分けがつかないくらい同じだ。
気になるSWRの幅を比べたのが次の図。
図12 1.8メガ 最善スローパーのSWR 図13 最善1.8メガ ウィンドム・スローパーのSWR
ウィンドム・スローパーの方がすこし幅が狭いようだが、SWR値が低く有利だ。
これまでの検討の結果、ウィンドム・スローパーが普通のスローパーの有利な点は、(タワー
高などが同じとして)
・タワーが低い場合やトップに載っている八木が小さい場合でもSWRを低くできる可能性が大
・Gainや打ち上げ角や指向性に実質的な差はなくSWRが低い分だけ有利(精神衛生上もよい)
と推測できる。
不利な点は
・エレメントの中ほど寄りに給電のための同軸ケーブルを取り付けるので重くなり、支柱を
建てるなど工夫が必要
である。
次に、現実の敷地で架設可能なウィンドム・スローパーを検討した。敷地や建物の形状、立ち
木の高さや位置などの実際的な条件で、エレメント長や引き回しをMMANAでさまざまなに計算し、
満足できる結果がこれ。
図14 架設予定のウィンドム・スローパーのパターン図 図15 架設予定のアンテナ形状と電流分布図
さあ、現実はどうなるか?
7 1.8メガのウィンドム・スローパーの架設
前項で私の敷地条件でのウィンドム・スローパーが設計ができ、いよいよ実際に架設してみ
た。
・課題である給電点と同軸ケーブルは9.8mのグラスファイバー製釣竿の根元にポールを継ぎ
足し地上高さ11.4mとし、地上高7mの位置に給電部分と同軸を固定した。竿は2階の屋根
のひさしに固定。
・給電点から釣竿先端まで線材を沿わせ、先端からタワーへ空中線を伸ばしてタワートップ
15mに接続。
給電点からタワートップまでのエレメント長の設計値は13.67mだが、竿のしなりやエレメ
線材の垂れ下がりが原因で実際は14.3m。
・開放側のエレメント22.03mも設計とおりに架設したいが実地優先にせざるを得ない。
SWRを測定してみると予想外に高く、アンテナアナライザで測るととても高い周波数に同調して
いる。
開放側に線材を足してカットアンドトライし引き回し位置も変更を繰り返し、SWRが1.3に落ち
着いた。
この状態で開放側エレメント長が32.1m。設計値22.03mより約10m(設計値より46%)長い。
タワー側も含めたエレメント長は46.4mで1/4λより13%長く、設計値35.7mより10.7m(設計値
より13%)長い。
エレメント長と引き回し位置の調整に苦労したがSWR1.3程度まで落とすことができた。設計
値よりかなり長いエレメントになった原因の一つにはエレメントが行きつ戻りつしていること
や建物の影響が考えられるが、それだけで説明できる程度を超えていて気持ち悪い。しかし難
しく考えないで使っていこう。
8 八木が増えたことによる3.5の再調整と7のウィンドム・スローパー化
14/21メガ4エレ八木を仲間の協力を得て3月中旬に揚げた。これによる3.5や7メガスロー
パーへの影響は大きくSWRが2〜3以上になり使い物にならなくなった。
a 3.5メガスローパーの対策
エレメントの引き下ろし位置を、タワーの根元からの距離で3mを5mにした位置がベスト。
ついでに、道路から見ての見栄えを良くしたいのでエレメントの引き回しを変更し、長
さなどを再調整し完成。
b 7メガスローパーをウィンドム・スローパーへ変更
エレメントの引き下げ位置や長さをどんなに工夫してもSWRが下がらない。それで、
MMANAで計算してみると、やはり実数部を50Ω近くまで上げられないことが判明した。
実際にどんなに工夫してもSWRが下がらないことに納得。
そこでウィンドム・スローパーにすることを決意。タワーの途中から釣竿を横方向に
伸ばし、そこを給電点にすることにしてMMANAで設計した。
設計結果は、
・給電点の高さ13.4m、給電点からタワートップまでのエレメント長2m
・給電点から開放側エレメント長が8.2m
・全エレメント長10.2m(1/4λの96%)
これをもとに架設し調整した結果は、
・給電点の高さ13.4m、給電点からタワートップまでのエレメント長2m(設計とおり)
・給電点から開放側エレメント長9.2m(設計より長い)
・全エレメント長11.2m(1/4λより5%長い)
であり、SWR1.4弱に落とせた。
ここまでで一応、1.8、3.5、7メガのスローパー系アンテナが完成した。ただしワイヤー系
のアンテナの宿命で、性能が雨や湿度で変化し、経年変化も大きいしメンテナンスをしっかり
していきたい。しかし、有効バンド幅の狭さはエレメント長を比較的簡単に変えて調整できる
ことが長所である。
9 エレメントの見取り図
この時点の引き回し状況である。
図16 3バンド エレメント引き回し見取図
10 1.8メガを普通のスローパーへ変更(初代スローパー 2013年5月)
1.8メガのウィンドム・スローパーを2カ月ほど使っていたが次の問題が生じてきた。
給電点を支えている竿を屋根のひさしに固定することが難しく、強い風が吹くと位置がず
れてしまうことがあり、強風が吹く度に直す作業が大変。建設時に危惧したとおりタワーか
ら遠くはなれた高いところに給電するのは保守が面倒でした。
SWRもそのせいかどうかはっきりしないが、エレメントを調整しても1.7くらいまでしか下
がらないようになってしまった。
普通のスローパーにしてみようと、改めてMMANAで計算したがはうまくいかなかった。
しかし、ダメもとで普通のスローパーを張ってみたところ、エレメント引き降ろし地点が地
上に近いと良い結果がでることが分かった。試行錯誤の末、SWR1.3前後で良好である。
エレメントが地上近くになったので、電波防護面での対策として隣地との間のネットを鉄
柵や固定式の柵にし、人が近づけないようにした。
次の図は実際に張った状態をMMANAにパラメータ入力し計算した結果である。計算ではSWR
が高いが実際は低い。その理由を私は十分には説明できない。(計算エンジンである NEC は
地上高が低い場合は不得意とのことであるが、それ以上は分からない)
追記 UA3AVR 製作の NEC-2 for MMANA ver 1.8.1 では(私が試みた限りでは)接地アン
テナの計算ができないようなので、これでの検証はできない。
図17 1.8メガ・スローパーのパターン図 図18 電流分布図
追記 このスローパー(必要に応じて初代スローパーと称す)を 2016/07 まで使用し、
成果は上々で52エンティティのCFMに貢献してくれた。
その後、2代目、3代目・・・を上げなおしており、その状況は
飛ぶ 160mバンド(1.8/1.9MHz)スローパーアンテナの秘訣をご覧ください。
11 7メガのウィンドム・スローパーのエレメント方向の変更
(2014年11月)
マイクなどへ回り込みは7メガが一番大きく困っていた。理由は給電点が家屋の上にあって、
その重さでエレメントが家屋(シャック)に一番接近しているせいかと考えて、エレメントを張る方向を
建物から離れる方向に張り替えてみた。回り込みが少なくなったように思う。
この時点の見取り図は次のとおり。
12 7メガ ウィンドム・スローパーを止めて普通のスローパーへ
500W程度でも回り込みが止まらない。 給電部の重さでエレメントをどう工夫しても家屋から離せない。
そこで、
・普通のスローパーに変更し
・引き下ろし方向も屋根がない南側にし
・給電点からのエレメントを添わせた釣り竿を極力水平に張り出すよう
にして問題ない程度に低減できた。
1.8もそうだけど シンプルが一番 かなあ。
注1 市販のSWR計のメータから15mほど線を延し、外付けメーターでも針が読めるようにし、
その外付けメーターの所からも送信機のCWキーをON/OFFできるようにもしてある。
これは何年も昔に製作したもの。
注2 電波防護のための基準値を満たす最低距離
3.5メガ 100W RTTYでの最低距離 0.6m(2m足すので最低2.6m)
1000W RTTYでの最低距離 1.9m(2m足すので最低3.9m)
詳細は出典4、5を参照。
出典
1 JL4ENS スローパーアンテナ
2 JA4LXY ハーフスローパーアンテナ
3 JA0OS スローパーアンテナ
4 総務省 電波防護のための基準への適合確認の手引き
5 JARL 電波防護指針 JARL電磁環境委員会
電波環境の確認方法 半波長ダイポールアンテナの7ページ目
6 サガ電子工業株式会社
7 藤井電工株式会社 ロリップ
8 JA3AOP 160mスローパーの電流分布
9 JA1WXB MMPC
10 JE3HHT MMANA
11 Windom antenna
12 CQ出版社発行 アンテナハンドブック(第28版)
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