Home
 

夜に電源ON、朝に電源OFF

   <自動点灯ライトの電源を周りの好みの明るさで自動制御>
                                               初稿 '25/06/03
                                    All rights reserved JA3OOK 中村 利和
  階段用に自動点灯ライトを購入しました。朝日電器 ELPA PM-LF006PIR(W)。
 人が近づくとLEDが1分ほど点灯する自動点灯ライトで、周りが暗い場合にだけ動作し日中は点灯しません。
 乾電池単四3本で動作します。
  使い始めて気づいた問題は、階段の上り下りに不自由がないほど十分に明るい朝や夕に人が近づいても点灯してしまい、
 かなり気になります。
 階段の上り下りの多少によるのでしょうが電池の減りが早く1ヶ月強で交換が必要です。
 このような電池の交換頻度ではもったいなくてとても使い続けられません。以下、その対策です。

1.対策の検討

  動作電流を測定しました。    ・電源電圧 4.5V    ・待機時 昼 0.020mA 夜 0.015mA    ・点灯時 約45mA    無駄のない消費電流だと思います。      いくつかの対策を考えました   案1 ライトの裏にある ON-OFF-AUTO のスイッチを毎朝夕操作する。     一週間やってみたけどめんどくさくて続けられない。   案2 LEDを暗くする。     ライトのケースを開ける方法が全く分かりません。ネジ無し、ツメ無し、すき間無し。     仮に暗くできたとしても、十分に明るい朝や夕方でも点灯する問題の解決は難しそうで、この案は不採用。   案3 電池ではなくソーラー電源またはAC電源から電源供給する。     これの取り付け位置への電源の配線が困難=見栄えが全く良くない。     十分に明るい朝や夕方でも点灯する問題を解決できず、この案は不採用。   案4 周りの任意の明るさで電源をON/OFFする回路を外付けする。     マイコンを使用すれば可能であるはずである。     ただし、待機時の消費電流を十分に小さくできなければならないが、以前の経験からは0.015mA程度に抑えられるはず。     ということで、この案を採用。

2.計画

  ・マイコンにMicrochip社の PIC16F1619-I/P を採用。    (極小の待機電流で動作させる回路を製作した経験があり、手持ち在庫もあるから)    自動点灯ライトへの電源供給はPICのピン RC4 から行い、念のためにこのピンからの供給最大電流を100mAにプログラムで    設定(HIDC4=1;)する。(設定しないと規定値50mA)   ・手持在庫のPICを使いましたが、他の型番のPICでも利用できます。    利用する型番に合わせて回路とソフトを変更してください。   ・Cdsで周辺の明るさを検出します。    (Cds:硫化カドミウムを使用した明るさセンサー)   ・単四乾電池を4本収納する電池ケースを外付けし、    新品電池を使用する場合は3本使用し、中古電池を有効利用したい場合は4本使用する。    (中古の電池を使用できるのはとても魅力的。4本の場合は無負荷で5Vを超えないように留意すること)   ・PICを搭載するプリント基板は JR5HEJ/1(高橋正剛氏)から頂いた汎用LCD基板を使用し、配線の工数を削減。   ・基板にはソケットを半田付けし、PICをそのソケットに挿します。

3.ハードウェア

 【PIC基板の配線図】    PIC基板配線図    基板にCdsやCdsのプルアップ抵抗などを挿した状態の写真です。    PIC基板写真    プルアップ抵抗値を変えることで周辺の明るさの変化の閾値(しきいち)を変えられます。    私の場合、560kΩが適切でした。(使用するCdsの個性によって変わるかも?)        Cdsの拡大写真です。    Cds写真  【全体配線図】    全体配線図    全体の写真    黒い箱は単四乾電池収納箱。右の白色の丸形が朝日電器製自動点灯ライト。

4.PICソフトウェア

 【要点】   ・消費電流削減のために POWER-DOWN MODE (SLEEP)モードを利用    明るい状態や暗い状態が続く場合にSleepモードに入るようにして節電。    (Sleepモードで消費電流をnAレベルへ低減できる方法がありますが、私は数十μAレベルにとどめて設計)    Sleepモードに入っても、I/OポートはSLEEP実行前の状態を維持します。    (つまり、夜に自動ライトへの電源ON中に、暗さが続いてSleepモードに入っても電源ONを継続できます。     昼に電源OFF中に明るさが続いても電源OFFを継続できます)    Sleepモードから外部割込により通常モードに戻ります。    (明るさに応じてCdsの抵抗が変化→IPポートの電圧の変化→割込発生→通常モード      →明るさに応じて電源出力をON/OFF)  【ソースプログラムを公開】    ソースプログラムを公開しますがバグなどによる損失不利益が発生しても使用される方の自己責任でお願いします。     ・ライト電源ONOFF・ソースプログラム    私の開発環境    ・MPLAB X IDE v3.40   ・MPLAB XC8 C Compiler (Free mode) V1.40   ・PICkit3 (Microchip)   ・書き込みアダプタ(秋月 K-05355)    PICへのプログラム書き込みは、PICを基板のソケットから抜き書き込みアダプタへセットして行います。    バージョンなど古い開発環境ですが新しい環境でも動作すると思います。    

5.評価

  ・待機電流の実測値(デジタルテスターで測定) 電源電圧4.5V             明    暗     ライトのみ  0.020mA 0.015mA     PIC基板のみ  0.020mA 0.012mA (Cdsとプルアップ抵抗を挿した状態)     全配線済み  0.020mA 0.033mA     (暗の場合、ライトのみ0.015mAとPIC基板のみ0.012mAの合計値が全配線済み0.033mAに一致しない理由が不明)   ・朝夕の明るめ時に自動点灯ライトが動作せず、気になる無駄がなくなった。   ・乾電池の寿命が大幅に伸びて2か月半過ぎても使用中です。まだまだ使用できそうです。        目標が達成できました。   

参考資料

1 Microchip社 PIC16(L)F1615/9 Data Sheets 2 水魚堂 回路図エディタ

 直前の画面へは ブラウザの戻る をクリックしてください。Topに戻るには
Home