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 リグからPCへの受信音の伝送で、音声ケーブル方式とUSBケーブル方式の時間差を測定                                     Ver.1.0 '23/03/12                           All rights reserved JA3OOK 中村 利和 [はじめに]   昨今のアマ無線ではPC(パソコン)が必須です。リグの受信音をPCへ送りPCソフトで復調し、  送信時にはPCソフトで変調した送信音を作ってリグへ送り送信します。  リグとPC間の音の伝送方式は次の二つがあります。    ・音声ケーブル方式      受信音をヘッドホンやAUX端子から音声ケーブルでPCのMIC端子やAUX端子へ送り、      送信音はPCのSP端子やAUX端子から音声ケーブルでPCのMIC端子やAUX端子へ送る方式。       (受信音系統と送信音系統は別々の音声ケーブルを使用)    ・USBケーブル方式      受信音をリグ内部でデジタル化しUSBケーブルでPCのUSB端子へ送へ送り、      送信音はPCのUSB端子からUSBケーブルでリグのUSB端子へ送る方式。       (受信音系統と送信音系統は一本のUSBケーブルを済む)  受信音がPCソフトに届くまでの時間を、音声ケーブル方式とUSBケーブル方式の時間差を  測定しました。 [測定方法]  a) 測定方法を検討する上での四つの条件    1 MIC端子とUSB端子との両方の音声データを同時入力できるソフトが必要。      この機能があれば両方の音声データの時間差を測定できる道が見えてくる。    2 ステレオを扱え、左右の音を自在にカットできること。      リグからのUSB音はモノーラルなので左右どちらかをカットしてMIC音と混じらなくする必要がある。      (例えばMIC音は左チャンネル、USB音は右チャンネルにしたい)    3 そのソフトで両方の音声データを同時録音できること。(注1)      音声データが録音機能へ到達したことはアマ無線用PCソフトへ到達したことと同等と見なせる。      さらに、両方の音声データを同時録音できれば、それを再生してオシロスコープで時間差を      観測し測定できる。      注1 測定を重ねて行って、この同時録音機能はなくても時間差の測定はできることがわかった。         [参考] a)録音再生音と録音入力音とで時間差があるか? に比較画像を記載。        ただし、録音しておくとオシロへの表示や動画撮影の再現性がある点は大きなメリット。    4 Windows上で動作するソフトであること。(アマ無線用PCソフトがWindowsで動くソフトだから)   これらの条件を満たすソフトを探した結果、見つかりました。   VB-Audio Software(フランスの会社)が開発・販売するミキシングソフトVoicemeeter Banana   です。(参考資料1)  b) 測定方法の全体ブロック図    ミキシングソフト Voicemeeter Banana を使った測定方法の全体ブロック図です。             図1 測定方法の全体ブロック図  c) 上記のブロック図を構成する具体的機器    ・リグ      KENWOOD TS-590S ファームウェアVer 2.03    ・PC      NEC ノートPC VersaPro VK26 i5-4210M 2.60GHz 4.00GB 64ビットOS SSD Windows 10 Pro 22H2 NEC ノートPC VersaPro VK16 CelelonB810 1.60GHz 4.00GB 32ビットOS HDD Windows 10 Pro 22H2    ・ミキシングソフト      Voicemeeter Banana Ver 2.0.6.8    ・オシロスコープ      IWATSU SS-3510    ・カメラ      Panasonic DMC-LX5    ・動画再生ソフト      RealPlayer Ver 18.1.9.106 [測定結果]    次の図がCWを受信しながら録音し、再生してHeadpone端子へ出力し、   オシロスコープに写して動画撮影し、スナップ写真を採取した例。           RigPcLat_2023-03-10-at-08h01m57s_P1040984RigPcVK26_MicVsUSB_CW_RecPlay_Snap3sJPG      RigPcLat_2023-03-03-at-06h12m19s_P1040875RigPcVK16_MicVsUSB_CW_RecPlay_Snap24s.JPG          図2 CW受信音のスナップショットの例 20ms/div  左 図2−1 ノートPC VK26 右 図2−2 ノートPC VK16   およそ12msの差が認められる。(複数の観測で2ms程度の違いはある)   7Hz帯の実際のCW通信を受信して測定している。   PCによる違いがあるようにもみえるが誤差範囲か! もっと新しいPCともっと古いPCで比較すれば差があるかも!    PCソフトからリグへも同じ時間差があるとすれば、合計24msの差があり音声ケーブル方式が有利。   そこまで神経質にならなければUSBケーブル方式でOKであろう。 [補足事項]  a) Voicemeeter Banana(Ver 2.0.6.8)の画面と設定状況             図3 Voicemeeter Banana(Ver 2.0.6.8)の画面    画面の設定内容の意味は次のとおり。     左上:HARDWARE INPUT1 からMIC入力音/HARDWARE INPUT2 からUSB入力音を取り入れます。     左側:MICは左の音/USBは右の音を取り出し、それぞれの音量レベルを調整しA1(バスA1)へ送る。     右下:A1に対してマスターレベル調整を行う。     レベル調整されたA1は右上のHARDWARE OUT からスピーカーへ出力されるとともに     右上のカセットテープで録音操作を行えば録音される。     (絵はカセットテープですがデジタルでディスクに録音される)     カセット再生操作を行うと右上のHARDWARE OUT からスピーカーへ出力される。  b) PCのオーディオドライバー    USB用ドライバーをインストール(KENWOODからの、TS-590とPCをUSBケーブルで接続する場合の指示)     シリコン・ラボラトリーズ社 CP210x_Universal_Windows_Driver    PCの「サウンド画面」は次のとおり。              図4 PCの「サウンド画面」 [参考]  a)録音再生音と録音入力音とで時間差があるか?    次の違いの比較。     ・録音再生音とは(今回の時間差比較で採用した方法)       CWを受信しながら録音し、次に再生してHeadpone端子へ出力し、オシロスコープに写して動画撮影しスナップ採取。     ・録音入力音とは       CWを受信しながらの録音入力音を同時にHeadpone端子へ出力し、オシロスコープに写して動画撮影しスナップ採取。            RigPcLat_2023-03-06 at 09h01m27s_P1040901RigPcVK26_MicVsUSB_BEEP_RecPlay_Snap6s_a.JPG      RigPcLat_2023-03-06 at 09h01m27s_P1040900RigPcVK26_MicVsUSB_BEEP_BusA1_Snap16s_a.JPG         図5 録音再生音 と 録音入力音   (BEEP音で実験 VK26 20ms/div) 両方に時間差はないっと言っていいだろう。   b)CW受信音とリグが出すBEEP音との比較例    BEEP音とはリグのボタンを押したときにリグから出る操作音。           RigPcLat_2023-03-03 at 06h57m17s_P1040877RigPcVK16_MicVsUSB_CW_RecPlay_Snap10s.JPG      RigPcLat_2023-03-03 at 06h57m17s_P1040877RigPcVK16_MicVsUSB_BEEP_RecPlay_Snap1m10s.JPG         図6 CW受信音 右図は同じ録音単位でのBEEP音  (VK26 20ms/div)    CWを受信しながら録音し続いてBEEP音を録音して測定。  c)時間差のばらつき    測定するごとに微妙に時間差が異なることは否定できない。しかし長くて概ね12msほどであるようだ。 [謝辞]   特に役立った資料を最後に列挙しました。この他にも役立った記事が色々ありました。   各著者に感謝します。 [参考資料] 1 VB-Audio Software Voicemeeter Banana 2 k本的に無料ソフト・フリーソフト 高機能なオーディオミキサー&音声ルーティングツール!「Voicemeeter Banana」 3 株式会社 光パスコミュニケーションズ(HPC) 遅延時間を測るには 4 インターフェイス株式会社 技術解説 USB-Audioとは

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