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FL-7000の遠隔操作 '14/12/12
(2017/01記入)FL-7000を撤去しましたが、保存書庫に残しておきます。
リニアアンプの遠隔操作の手始めとしてYAESU FL-7000の遠隔操作を次の方法で実現した。
遠隔操作で触るスイッチは
・POWER SWのON/OFF
・OPERATE SWのON/OFF
・BANDの切換
が出来れば必要十分である。
他のSWは手動で
・TUNERはON
・MANUAL(バンド切換)はAUTO
・METER SELECT はPO(OUTPUT POWER)
に固定しておき、アンテナチューナーも手動でチューニングしておく。
FL-7000にはSSB/RTTY切換SWがあるタイプとないタイプがあるが、今回のものにはないので切換
えなくてよい。(そのかわりRTTY運用時はドライブパワーを半分にしよう)
という腹積もりで準備を進めた。
a POWER SWとOPERATE SWのON/OFFの方法
・POWER SW
頻繁にON/OFFすることはないので、PCの起動/停止やアンテナ回転で使用している「IPリモ
コン」で遠隔操作する。
・OPERATE SW
わりと頻繁にON/OFFすると思うのでTS-590の操作画面から「ABS(自動バンド切替機)」を経
由して遠隔操作する。
つまり「RIT ON/OFF」に連動させて余っているPICのポートをON/OFFするようにプログラムを改
造すれば実現は簡単である。
(RIT機能を利用する運用はまず無いと思う。XIT機能でもできるが万一周波数を+-000にして
いなかった場合に通信相手方を混乱させるので不適)
しかし、FL-7000側は改造可能か?
FL-7000の回路図をよく見ると
電源SWはS01を2回路1接点のリレーに
つなぎ代えればよさそうだ。
ただし、リレーはAC200V/20Aに耐えられ
る必要があるので外形もかなり大きくな
りそうだ。
OPERATE SWはS01bを2回路1接点の
リレーにつなぎ代えればよく、電圧/
電流とも小さくてよい。
次に部品の選択と回路設計。
キーパーツであるリレーは
・POWER SW用
Webを探しても大容量の2回路のリレーはもちろんあるが高価格で手が出ない。
回路を吟味すると20Aが流れるのは1接点だけで、もう片方は制御系の電流しか流れない
と考えられる。つまり大と小の二つのリレーを組み合わせればよい。
大電流用 OMRON パワーリレー G4A-1A-E 駆動コイルDC12V 負荷AC250V/20A
タブ端子#250付きを選択し、モノタロウで購入した。1個でも安く買え便利。
小電流用 OMRON ミニパワーリレー MY2 駆動コイルDC12V 負荷AC220V/5A
小電流用はもっと小型のリレーでも良さそうだが大き目の手持ちを活用。
・OPERATE SW用
これは小型でOK OMRON G5V-2 駆動コイルDC12V
回路図は次のとおり。
このリレー回路をどこに格納するか。FL-7000の底カバーを外して中の構造を見ると、
トランスとフロントパネルの間に長方形の空間があり、このサイズに合わせてプリント基板を
カットし、リレーなどを組み込んでぎりぎり格納できた。好都合だった。
G4A-1A-Eのタブ端子のサイズがファストン・リセプタクル#250であり、AC200Vの赤と黒の
太いコードの端のリセプタクルとピッタリ合い、差し替えるだけでOKであった。
前記回路図で分かるようにS01bSWの一方の接続はJ01コネクターに来ており、コネクターを
引き抜いてリレー側に差し込むように工夫したので、半田付けをしたのはS01bSWのもう片方だ
けの2個所であった。これなら、元に戻すのも楽である。
この写真が電源トランスとフロントパネルの間の空間に納まったリレー回路である。
右寄りの黒い箱がG4A-1A-E。これで20AのON/OFFができる。いかにも小さい。主な用途はエアコンのよう。
透明ケースがMY2。その左の黒く小さいケースがG5V-2。
b ヤエス・バンドデータによる BAND SWの切換
YAESUのバンドチェンジ標準インターフェース(BCD制御:Bibary Coded Decimal)である
「BAND DATA」端子がFL-7000にも後面パネルのACC-1とACC-2に装備されている。ACC-2の方が挿
せるコネクターが入手容易であるのでこちらを利用した。
ヤエス・バンドデータとACC-2端子のピン番号の対応は次のとおり。 0:L 1:H
DATA GND D C B A Hex
Pin# Pin1 Pin2 Pin3 Pin4 Pin5
160m 0 0 0 1 01x
80m 0 0 1 0 02x
40m 0 0 1 1 03x
30m 0 1 0 0 04x
20m 0 1 0 1 05x
17m 0 1 1 0 06x
15m 0 1 1 1 07x
12m 1 0 0 0 08x
10m 1 0 0 1 09x
6m 1 0 1 0 0Ax
Pin2〜Pin5の信号レベルはTTLであり、普通のMCU(PICなど)の出力ポートを接続できる。
「ABS(自動バンド切替機)」に機能追加し、TS-590のバンド切換に自動追従してPin2〜Pin5
にLやHを出力することは簡単であった。
上記バンド対応表は参考資料8のYaesu BCD Band Dataによる。著者 M1MBX に感謝します。
c AC200V系電源ラインのON/OFF
これも「IPリモコン」を利用しリレーでON/OFFする。
→ その後、AC200V系もDC電源装置と連動するようにし、「IPリモコン」からの遠隔
操作をしなくてもよいようにした。
ここで利用するリレーはFL-7000のPOWER SWを代替したものと同じ
・OMRON パワーリレー G4A-1A-PE 駆動コイルDC12V 負荷AC250V/20A
ただしプリント基板用端子だけついているタイプを選択。これは配線の接続が半田付けになるの
にタブ端子がついているとショートや感電の恐れが大きくなるため。
d FL-7000系全体の配線図(8項による変更後、および見やすいように改善) 旧はこちら。
e ABSの機能強化
OPERATE SW のON/OFF、590に連動したバンドの切替をABSでできるようにした。その詳細に
ついてはABSマイコンユニットで詳しく記述してある。
f 無線局免許
IC-PW1での遠隔操作免許は既に下りていて、FL-7000を追加申請した。ブロックダイアグラ
ムは申請当初から添付しておいたが、電気的仕様の追加資料を求められたので取扱説明書の定
格が書かれたページのコピーを郵送し、書類審査で許可された。改造されたFL-7000や自作の
場合は異なった展開になったかもしれない。
g FL-7000の遠隔運用
・POWER ON/OFF
IPリモコンでFL-7000の電源投入/切断。
・OPERATE ON/OFF
TS-590のRITをON/OFFにすることによりON/OFF。
・アンテナチューナのチューニング
原則的には送信所で実施しておく。しかしリモートでもチューニング可能でありFSKモー
ドの無変調で送信してチューニング。
・パネルのメーターやランプの監視
動画カメラで各表示ランプ(BAND,PROTECT,WARNING等)、ICメーター、POメーターを監
視しながら運用。
参考資料
1 FL-7000取扱説明書 八重洲無線株式会社 発行
2 M1BXF Icom (CI-V or band Data) to Yaesu BCD Band Data Converter
3 工具通販モノタロウ
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