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タワー建設記録 KT15C(クリエート・デザイン KT-Cシリーズ)                                    Ver.1.0 '13/02/03                           All rights reserved JA3OOK 中村 利和 1.動機  この年になって今までの人生を振り返り、これからの人生のことを考えていると、何かやり残し たことがあるように思えてならない。何をやり残しているのかを考えてみると、一つは野菜作りな どの田舎暮らしであり、もう一つはDXやコンテストのため人並みのアンテナがほしいのだ、との 結論に思い至った。  しかし、今住んでいる大都会の郊外でこの二つを実現することは全く不可能である。私は終戦の 年の秋生まれなので60歳代後半であり、田舎に移ることは遅いようにも思える。しかし、考えよ うによっては死ぬまで20年以上もあるではないか! 思い立ったが吉日、実行するには1年でも 早い方が良い。妻も同じことを考えていて背中を押してくれ、実行に移すことができた。 田舎を探し回って気に入った場所を見つけて購入し、使い始めたのが2012年7月である。野菜 作りなどについては別に書くとして、ここではアンテナタワーについて記する。 2.タワーの選定  タワーの条件は次の通り。   ・28メガで1KWが免許可能なタワー     使用目的は主にDXCCとDXコンテストであり、タワーの理想を言ったらキリがないが、     敷地と予算の厳しい現実を直視して実現せざるを得ない。     一方、電波法施行規則 第二十一条の三で「電波の強度に対する安全施設」 (平成11年     10月1日施行)が定められている。(参考文献1、2)     これによると、人が通常出入りする場所での、無線局から発射される電波強度の限界値が     定められており、普通の狭い敷地の場合、地上高が低すぎるアンテナではクリアできない。     28メガ1KWのRTTYを4エレ八木で運用する場合を想定し、この法令に基づき計算     すると最低18mのアンテナ地上高が必要である。(クリエートデザイン社に依頼して入     手した4エレ八木の放射パターンを使い、同軸ケーブルの損失も考慮して計算した結果で     ある。50メガも同様。)   ・建築基準法による15m制限     15mを超えるタワーを法令に準じて立てる場合に必要な手間と費用と、法令の範囲内の     15mのタワーでもマストを利用すれば地上高18mの八木が可能であることを比較し、     今回のロケーションも考慮すると無理して高くすることもない。よって法令の範囲内の     15mのタワーとした。   ・自立型     アンテナ本体の上げ下ろしの容易さを考慮して自立型とする。ステー型は何かと作業性が     悪いし、ステーを取る場所も条件があるし不便。   ・信頼あるメーカーはどこか     今時のメーカー製タワーならどこ製でも問題はないだろうと思う。自動車を買う時のメー     カー選びと同じくらいかなと思う。要は自分の経験と好みで選べば良い。     ということで私が選んだのはクリエートデザイン社のKT−Cシリーズ。     理由は、昔々この会社のルーフタワーとローテーターやマストを買ったことがあり、建設     時も使用中も全く問題がなく満足だったこと。     最近では、中古の分解されたKT16Cを某局が購入し建てる工事を手伝ったが、どの部     材やボルトナットにも変形や錆がなく再利用でき、全くスムーズに組み立てて建てなおす     ことができ感心した。このようなことでCD社の設計と製造技術に安心したからである。  それで結局クリエートデザイン社の次の部材を選定した。   ・タワー本体     KT15C   ・ローテーター    RC5A−3     HFの3〜4エレ八木を2つほど載せても十分な余裕をもっておきたいので、RC5では     心細いのでワンランク上を選択。プリセット機能はとても便利で必須。   ・マストベアリング  CK46   ・マスト       M3(5.6m、実質3.6m)     28メガ八木を18m高に上げるため。 M2では短い。   ・アース棒  14φ1200mm   6本     タワーが三角なので各足に2本ずつ。   ・アース線  22SQ軟銅撚線  3m   ・ソルダレスターミナル    3個   ・ボルトコネクター      9個   ・ローテーターケーブル    20m 3.タワー建設位置の決定   敷地の形と既存の建物および道路や隣地を考慮して建設位置を決めた。その場所を念のために   1.5m四方を15cmほど掘ってじゃまな物が埋まってないか試掘。そしたら掘削予定ぎりぎ   りに排水管を発見した。良かった。 4.建設工事をどうするか   次の問題は建設工事である。自立タワーであるからメーカーが指定する条件の基礎工事をしな   ければならない。基礎の穴の深さは2m前後必要であるし、打ち込むコンクリートの量も2立   方メートルは最低必要である。何人ものハム仲間が助けてくれてもこれらを全て人力で行うこ   とは不可能であるし、無理に行えば危険も伴うように思える。   ハム仲間に土建業者でもいれば一部の作業でも頼むことも可能かもしれないが当てはない。   そこでタワー建設の経験がある業者に全てを依頼することにし、地元の京都に支店があるハム   ショップ「日栄無線 京都店」に連絡を入れた。   その手順は、    ・建設工事だけでなくタワー本体など上記部材も合わせての見積もりを依頼     このときのメールに敷地や道路、建設位置の見取り図も添付    ・工事車両のためにも下見が必要とのことで営業と監督が来訪    ・見積書と明細書をメール受信    ・受け取った見積明細書を一つひとつ仕様や作業内容と価格を吟味    ・疑問点を相互に確認し合い部材の数量も一部変更、価格も交渉    ・全て合意し契約   最初の連絡をしてから契約まで約20日であった。 5.工事   1日目に穴掘りと基礎工事、コンクリートが固まる1週間後の2日目にタワー建設とのこと。   具体的な工事日は、秋から冬への季節の変わり目の不確かな天気予報と工事業者の都合とを   見計らいながら前日に決定。   1日目    9時前に業者と営業が到着。    09:15 バックホーでの整地と穴掘り開始。穴の側に排水管があるがオペレーターが         器用にバックホーを操作、感心。         土質は砂利を含む土で、心配した大きな岩はなく順調に掘り進めることができた。         深さ2mに達したところで穴の周囲を四角に削り底を平らに掘って終了。         掘り出した土(残土)はダンプカーに載せ、処分のため運び出してくれた。         アース棒6本を穴底に打ち込み、業者が前もって組み上げてきてあったタワー1         段目(土中に埋める基礎部分)を穴に立てた。         アース接続工事と1段目の位置決め及び垂直出しを完了したのは11:45。         昼食時に缶コーヒとお茶とお菓子を差し入れ。    13:30 コンクリートミキサー車が到着し、バックホーのバケットにコンクリートを入         れて穴に流し込んで棒でつつく作業を30回ほども行って、30分でコンクリー         ト打ちが完了。         バックホーで整地し、コンクリートの上部を板枠で囲み仕上げのコンクリートを         打ち込みコテで仕上げた。         バックホーが空いた時間に畑を耕してくれた。これは無償サービス。畑作りには         とても助かった。    14:30 本日の作業目標を終了。    午前中は少し時雨模様だった高所作業がないので影響なし。   二日目    1週間後の前日の予報では天気が崩れるとのことで延期し、二日目を2週間後に実施した。    今日は晴天に恵まれ幸運。    10:30 業者と営業が到着。組み上げたタワーのブロックもトラックに積んできていた。    10:45 ブロック間の連結とローテーター、マストベアリング、マストの組み付け作業。         昼食時に昨日と同様に差し入れ。    12:45 クレーン車が到着。でっかくてびっくり。油圧で動く足も出て安心。         タワー上部にベルトをかけて全体を一気にクレーンで吊り上て基礎の上へ移動し、         基礎部とをボルトで連結。ここまで10分、すごく効率的。         クレーンをゆるめてタワーを自立させ、タワー下部から増し締めしながら最上部         へ上っていく。    14:00 上部の綱をほどいてクレーン車撤収。         最後にローテーターケーブルを布設。    14:30 タワー建設の全作業が終了。  ということで、あっと言う間にタワーが完成。ケガやトラブルもなく予定どおりに終了した。  皆さんお疲れ様でした。  写真で見る工事の流れ。  1日目。  バックホーで穴掘り。  穴掘り開始  深さ2mの四角の穴。  穴掘り終了  きれいに掘れた。素人の手堀りでは無理。  最深部で2m、横1m、縦1.2mほど。  アース棒も打ち込んだ。  穴掘り開始  一段目が立った。  一段目  コンクリートを打ち込む。  コンクリートの打ち込み  コンクリートの仕上げ。  コンクリートの仕上げ  ここから2日目。晴天に恵まれ有り難い。安全に順調に進みますように!  予め組んであった各段の接続作業。ローテーターやマストも組み付ける。  各段の接続作業  大型クレーンで吊り上げて移動し、基礎とボルト・ナットで接続。  このクレーンのアームは最大長30mで、現在25mとのこと。道路が広いので、この大型クレ  ーン車も昨日のミキサー車も他の車に迷惑をかけることなく作業ができた。  クレーンで吊り上げ  下から上へ順に全部のナットを増し締め。  ナットの増し締め  完成!  完成写真 参考情報 1 総務省  電波防護のための基準への適合確認の手引き   2 JARL 電波防護指針 JARL電磁環境委員会 3 クリエート・デザイン株式会社 4 日栄無線株式会社

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