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135KHz トランスバーターの製作
Ver.1.0 '09/04/24
Ver.1.1 '09/05/01
Ver.2.0 '09/05/17
Ver.3.0 '09/06/25
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Ver.5.2 '09/11/28
All rights reserved JA3OOK 中村 利和
1号機 真空管版(FLDX400改造版)
2号機 半導体最新版(送信部はエキサイターまで)
トランジスタパワーアンプと(改良前の)アンテナカップラー
135KHzバンドがハムに開放されました。ちらほらそのような話はありましたが、まさか3月30
日から実施されるとは思ってもいず、のんびりとしていました。
ところが今年に入ったある日、所属するクラブのボスから自作を焚き付けられ、私としても135K
Hzという今まで扱ったことのない極端に低い電波を扱う未知の領域に好奇心をそそられ、自作の虫
が蘇り取り組みました。
1.リグの構成
135KHzのリグにはいくつかの案が考えられる。
案1 完全自作
・送信機 VFOまたはVXOで直接135KHzを発振、増幅
・受信機 1−V−1など、またはスーパーへテロダイン方式
周波数安定度や受信感度・安定度などで自作での高い性能は望みにくい。
高い周波数で発振した後、分周する方式も有りえるがQSYをどうするか。
案2 既存のリグを親機とするトランスバーター方式
・局発と混合させてHF帯周波数から(へ)変換
・水晶で送受共通の局発を発振
周波数安定度や受信感度・SN分離度などで高性能を期待でき、親機の送受信能力を十分に
利用できる。
トランスバーター接続を考慮されたリグなら親機の選択の幅が広がる。親機を改造する必要
がない。
案3 既存のリグを親機とし、中間周波などから取り出したトランスバーター方式
・局発と混合させて中間周波から(へ)変換
・水晶で送受共通の局発を発振
周波数安定度などで高性能を期待できるが、中間周波を取り出す位置によっては中間周波帯
域幅の可変化やCWノッチフィルターなどの受信機能を十分に生かせない。
中間周波数や信号レベルで親機が特定の機種に依存する。さらに親機を改造しなければいけ
ない。
といった検討を行い比較した結果「案2」を最有力とし、具体的な検討に入った。
手持ちのリグにヤエスのFLDX400があり、「FLDX400 INSTRUCTION MANUAL 文献1」で周波数
構成を調べると、第3局発(V6 6AW8 3極管部)で7MHz帯用に3,400KHzを水晶発振している。
これを親機からの3,535KHzと混合すれば135KHzが得られる。
この混合に既存の第4ミクサ(V7 6CB6)を利用すれば、以後のドライバー12BY7A、ファイナル
6JS6Cも信号のレベル配分の問題がなくそのまま利用できると判断した。
受信部は新たに製作する必要があり、受信ミキサーには定評のある6CB6(文献1)に決め、
135KHz帯専用機となることで不要になるIF増幅(V3 6BA6)を撤去し、この位置に組み込むこ
ととした。
なお、RF増幅が必要かどうかは受信部ができてから聴いてみて判断することとし、もし必要な
らIF増幅(6BA6)の前の第2バラモジ(V2 12AT7)の位置に組み込むつもり。
(結果的には感度は十分でイメージ妨害などもなく不要であった)
親機はTS-830を使用。それの X VTER端子 にはオリジナルでは28MHz帯が出力されているので、
3.5MHz帯が出力されるようにTS-830を一時的に変更する。
その方法は次のとおり。(TS-830 RF UNIT)
・28MHz帯がコネクタIに出力されているので、それを抜く
・3.5MHzコイル(L24)にビニール線を2ターン巻きつけ、コネクタIに挿す
(L24などには12BY7Aのプレート電圧がかかるので確実に絶縁すること。受信系統の変更は不要)
2.FLDX400の改造
本トランスバーターの回路図と改造の要点は次の通り。
旧 回路図(3.2項で受信部の改良を行う前)
旧 注1 コイルとコンデンサーの製作要領(3.2項で受信部の改良を行う前)
T13パイ型タンク回路の設計は「終段出力回路の設計 JA1ANG 米田 治雄 文献2」に拠った。
各種コイルの設計やトロイダル・コアの利用は「トロイダル・コア活用百科 山村 英穂
文献3」を大いに参考にした。
なお、T11とT12に使用するトロイダル・コアは入手難からFT-114-43を使用しているが、より高
いQを実現するためにはFT-114-72またはFT-114-75が望ましい。
製作と調整に当たっては
・低周波発振器(LEADER LAG-120B 10Hz〜1MHz)
・オシロスコープ(IWATSU SS-3510 DC〜50MHz)
・グリッドディップメーター(LEADER LDM-810 2〜250MHz)
・ダミーロード、テスターなど
を利用した。
改造後の写真をいくつか紹介する。
ミクサーとドライバー段。追加のタイトVCはミクサーとドライバーのプレートコイル同調用。
右上が受信部ミキサー。元のVCは受信アンテナコイルの同調用に利用。
ファイナル6JS6Cと追加したLとC。右側が受信ミキサー6CB6。
パイ型タンクコイルと感電防止用チョーク。
受信アンテナコイルとフェライトバー。斜めのL型アングルはフェライトバー固定用。
T2 同調周波数調整中の受信部3.5MHzコイル。
トロイダル・コアへの巻きつけ作業中。このような杼(ひ)を工夫した。実は割り箸!
写真撮影のため線材がほぐれないようにマジックテープで仮止めしている。
3.免許とその後の改良
3.1 免許
本機の構成で所属クラブ局の送信機の変更申請を行ってTSS株式会社の保証を受け、4月
24日付で免許が下りた。(Ver.1.1 '09/05/01)
製作に当たってはCとLの大きさに閉口し、従来のハムバンドに比べていかに周波数が低い
かを思い知らされ、この周波数はオーディオ発振器が楽々カバーする範囲で、まさに電波とオ
ーディオの両方の性格を持つことを実感した。
今回はオール真空管で構成し製作したが、近々オール半導体で挑戦してみたい。
3.2 改良(本記事Ver.3.3)
その後、QSOトライアル(6.5項)を実施していく中で次の問題点が判明し対策をとっ
た。
a 混変調が強くノイズに受信信号が埋もれてしまう。
受信部ミクサー(6CB6)のカソードに局発を注入する方式に変更した。しかし。混変調
は改善されたが受信感度が下がり実戦的でない。
b 受信感度不足を改善するためにRFアンプを追加。
RFアンプは半導体で作成した。その要点は次のとおり。
・自己発信に悩まされ、試行錯誤で解決した。
RFアンプのエミッターのバイパスコンデンサーの容量が少ないと発振しやすい。
出力トランスT012の同調コンデンサーと並列に抵抗を抱かせてQを下げると発振しに
くい。(抵抗値が低いほど発振しにくい)
受信アンテナコイルの中間タップの位置がホット側になるほど発振しやすい。
・使用したTRは2SC945。
他に2SC2003、2SC2274、2SC1815、2SC1318を試し、
2SC945が混変調や増幅度のバランスが良くてベスト。
しかし、半導体は同じ名称でも個体差があり、さらに、回路定数などの動作条件が違
えば異なった結果が出ると予想され、今回の評価の普遍性は低い。
c 受信感度が良くなって耳についてきたのが外来ノイズ。
アンテナ系統を色々しらべて、感電事故防止チョークコイルでアンテナをアースしていると
ノイズレベルが上がることが分かり、このコイルのホット側をタンク回路のC2側に直付けし
て解決。
改良後の回路図やコイルデータは次の通り。(旧の図表も2.項で参照可能)
注1 コイルとコンデンサーの製作要領
受信アンテナコイルの巻き始め。
巻き終わった受信アンテナコイル。
なお、コイルを自作する際の面白さで、所定のリアクタンスのコイルを巻く場合、コイルの
直径や長さが多少異なっていても、巻く銅線の長さを目標にしても同じくらいのリアクタンス
を得られる。
従って巻き数が多いコイルを手巻きする場合、巻きながら正確に数えるのは不可能に近いが、
銅線長なら予め計っておけるので簡単。
RFアンプと受信アンテナコイル。
4.半導体による製作
( 〜4.5項 本記事Ver.2.0)
次は半導体で構成した2号機の開発である。
いつものように手持ちの部品をできるだけ使用することとし、部品箱をかきまわすと
・6.975MHzのXTAL
・何種類かトランジスタとFET
・中波ラジオのフェライト・バー
などが出てきた。しかし、半導体用のコイルなどはなく、やむなく
・135KHz帯に使えそうなミツミ製LF用コイル
・7MHz用FCZコイル
・ポリ・バリコン
などは購入した。
4.1 56年前製造の6.975MHzのXTALが発振
このXTALは昔々OMからもらったものでKSS社製(金石舎研究所:現在の京セラキン
セキ株式会社)の昭和28年製。
これを使って回路を組んでみると、ちゃんと発振した。 56年前!の水晶が! 感心!
4.2 エキサイターの製作
意を強くして製作を開始。親機の周波数は7.110MHZとなる。
出来上がったエキサイター部。
なお、発振回路の負荷コイルは写真のように、直径8mmコア入りボビンに0.32mmポリウレタン
銅線を購入し巻いている。
写真で下側のコイルは2次側。
4.3 受信部の製作
アンテナコイルには1号機の経験から中波用フェライト・バー(直径10mm)を利用すること
とし、0.32mmポリウレタン線を、適当なプラスチックの筒に20mを巻きつけた。多層になるので
崩れにくいように「ハニカム巻き」。手巻きでそれらしく巻いたがうまく巻けない。見栄えが
良くないが我慢。
ミクサの出力コイル用にFCZ製7MHz用コイルを購入。
最初はRF増幅なしで、ミクサだけをTR(2SC945)で製作した。しかし、
・感度の低さ
・それにもかかわらず7MHz放送バンドのスルーの多さ
でだめ。
そこで、RF1段を同じく2SC945で作成。結果は
・感度は良くなったが
・7MHz放送バンドのスルーの多さだけでなく、
・7MHz放送バンドの混変調
がひどく、だめ。
手持ちのFETがあり(2SK30A)これに変更。(もちろんバイアス回路も見直し)
その結果、なかなか良い感じ。ただし、
・放送バンドのスルー、
・放送バンドの混変調
は残っているが、バリコンを回して聞きたい周波数に同調させると解消でき、実用上問題ない
程度である。
これで本格的に組み上げていたら、突然ローカル発振が停止してしまった。
電源を入れなおすと発振を開始するときもあるが不安定で、どうもXTALが壊れていると
思われる。そこでXTALのカバーを開けて見ると、写真のように水晶への接点のばねが錆び
ている。
なんとか直したくても銀の蒸着に点溶接されているか又は接着剤で止めてあるらしく動かな
い。しかたなくアルコールで拭いただけで元通りに半田で封印した。
効果はあったらしく、その後は安定して発振している。
4.3 XTALの3.5MHz化
7MHz帯の放送バンドはどの放送局も電波が強力であり、スルーと混変調の問題を根本的
に解決するには3.5M帯に変えるべきか?
XTALも根本的に修理できた訳でもないし、迷っていたところ、某オークションでちょうど
適当な周波数のXTALを発見し購入した。
周波数は3.580MHZ。
さっそくコイルのコンデンサーを3.5MHz帯の所定の周波数に同調するように大きい値
に取り替え、ついでに発振回路の負荷コイルもFCZ製に取り替えた。
4.4 トランスバーターエキサイター部と受信部の一応の完成
ユニバーサル基盤とバリコン、アンテナコイルをリサイクル置き場から拾ってきた金属製
のお菓子の箱に組み込みんだ。
4.5 トラブル
ここまで至るまでには色々難渋したが、その一番は「自己発振」であった。送信系統も
受信系統も発振した。
送受ともコイルの2次側に抵抗を入れて(T2の5KのVR、T13の6.8K)乗り越えたが、防止策
というよりも回避策かもしれない。
4.6 受信専用アンテナ回路(本記事Ver.4.2)
この状態でしばらく使用していたが受信ノイズが気になってきた。長波の航空機向けビー
コンを比較すると、特に市街地で135KHzの送信アンテナで受信すると受信ノイズが格段に高
いが、例えば14MHz用のアンテナで受信するとビーコンも弱くなるがノイズの方が格段に低く
なり了解度が非常に良くなる。
そこで受信専用アンテナ用回路(リレー回路)を付加した。しかし、テストすると
受信時:パワーアンプにアンテナを接続すると電源とアンテナの電流が流れる場合がある
送信時:受信同調VCによって送信レベルが変化する
といった現象が発生する。原因はどうも自己発振だ。自己発振は4.5項でも対策しており、
あとは増幅を強制的に止めるしかない。増幅素子のバイアスを深くするのが正道であるが、
回路が複雑になりすぎるので信号回路をアースする簡易な方法を採用した。
今回の改良箇所は次の通り。
・受信専用アンテナ回路の付加
・発振防止のため、受信時は送信信号線をアース、送信時には受信信号線をアース
・送信時にパワーアンプへDC12Vを供給
パワーアンプ側はアンテナ送受切り替えをリレー化
(これにより親機でブレークイン操作が可能)
・上記4点の改造のためリレーを変更(1回路2接点→4回路2接点)
・受信フロントエンドに入れていたローパスフィルター(トロイダル・コアとC)は効果
不明確なので撤去
4.7 回路図とコイルデータ、完成写真(本記事Ver.4.2で最新化)
系統図と回路図は次の通り。
コイル製作のポイント
・T1,T14 : FCZ製7MHz用コイル
・T2,T3,T4,T13 : MITUMI製 LF用コイル(1次 267t 約4mH 2次 51t)
・T11 : 中波用フェライト・バーを利用
1次側 0.4mmエナメル線を空芯で20t程度
2次側 0.32mmポリウレタン銅線20mを毛筆ペンのペン先カバーに
ハニカム巻き
中点タップは1/3くらいの所(混変調が少なくなるところ)
旧 回路図(4.6項の改良を行う前)
ユニバーサル基盤に組んだ受信部(左)と送信エキサイター部、電源部、ローカル発振部(右)。
5.半導体パワーアンプの製作
(以下 本記事Ver.3.0)
前項のエキサイターの開発とほぼ並行して行ってきた半導体パワーアンプを紹介する。
パワーアンプの設計製作に当たっての目標は次の通り。
・このバンドは特にアマ局が少ないので、移動運用を行ってQSOの可能性を広げたい。
長大なアンテナや完全なアースが望ましいことには反するが挑戦したい。
移動運用の電源に発々(発電機)を使うのでは当たり前すぎて面白くないし、DC−AC
コンバーター利用ではコンバーターが発生するノイズが心配。
そこで、ぜひ車の電源からの直接給電による運用を可能としたい。
・今までの経験からオーディオアンプ回路での実現の可能性も高くトライしたい。
友人に相談すると中古のオーディオアンプを快く提供してくれたので、これを活用しよう。
5.1 メーカー製オーディオアンプの測定
これは学校などで使用するTOAの業務用放送設備のモノーラルアンプであった。
早速、オーディオゼネレーターをつないで周波数特性を調べると、136KHz付近でのパ
ワーは音声周波数の2%しか出ない。これではとても使えない。
今風の音楽観賞用のアンプなら優に200KHzや場合によっては500KHzまで高域が
延びており、同じ性能を心の中で期待していた私の欲が強すぎた。
しかしあきらめていてはアマチュアの開拓者精神が泣く。なんとかしよう。
5.2 周波数特性の改善
なにはともあれ回路図起こしから開始。TOA TA-120Zのメインアンプ部分はこんな回路だ。
どこで高い周波数が劣化しているかを信号の流れに沿ってオシロで調べていくと、まず
T1(位相反転トランス)が原因。
トロイダル・コアでトランスを自作。
自作したT1 : アミドン製FT-114-43にポリウレタン線0.32mmを使い、
2次側:バイファラー巻きで11回通し、1次側:20回通し
これに交換し結果は良好。
NFも悪さをしているので撤去し、ドライバ段のベース−エミッタ間に入っているコンデン
サも0.001μFに変更。なお、コンデンサを無くすると発振する。
次の大きなネックは予想通りT2(出力トランス)。
文献4「トロイダル・コア活用百科」を中心にあれこれ検討し、この文献に載っているコンデ
ンサで出力を取り出す回路(「3.3章 100Wまでのパワー・アンプ」の項)、これを実験してみるこ
とにした。
この回路はインピーダンス変換も1:4で行っており電源が低電圧であっても高出力が期待
でき、さらに直流電流は打ち消され交流電流しか流れないので、コアの磁気飽和を緩和できる。
それでもコアに流れる電流が多い場合は注意深く設計する必要があり、手持ちのコアは
FT-114-43しかなく計算するとわずか4回しか通せないのだ。ポリウレタン線1.2mmで製作。
バイファラー巻きで1:4変換になるよう結線。
これを接続してテストすると結果良好。調子に乗って実験を続けていると、突然
このように破壊されてしまった。
ドライブをかけ過ぎ大電流が流れ磁気飽和点を越えて暴走し、コアが熱で割れてしまったのだ。
文献に書かれている現象がまさか目の前で起こるとは・・・
もっと大電流を流せるコア、例えば#63材や#61材を使用すれば良いのだが手持ちがな
いし、特に#63材はそこらへんの店や通販では入手困難である。
もう一つ心配は#63材や#61材を入手して作ったとしても、万一壊れた場合はトランジス
タの破壊に結びつく大事故になるかもしれず心配。
ここまできたので今までのデータを整理しながら並行して免許申請書類を作成開始。
サンデー毎日の身の上、夜も寝ないで昼寝しながら思案投げ首。何日経過したことやら。
コンデンサで出力を取り出す回路をつくづくと眺めながら文献に書かれている動作原理を考
えていると、既存の出力トランス(T2)を利用しても動作はトロイダル・コアと同じのように
思えてきた。
そうだ、既存のトランスを利用すれば良いのだ。これなら破壊されることは考えられないので
安全だ。ようやく先が見えてきたので、大容量の高耐圧のコンデンサも買わないといけないし
他にも買いたいもののリストを作って日本橋へ買出し。
翌日からさっそく実験再開。結果は良好。
5.3 電源の低電圧化
車のDC電源を供給するように回路を変更。試行錯誤で取り組んだが結果的に主要ポイント
は次の通り。
・AC電源系は不使用
・少しでも消費電力を減らすためにプリアンプ基盤への電源供給を切断
・電圧安定化回路は触らずそのまま、つまり電圧安定化をしない
・Trによっては低くなりすぎたコレクター電圧を高め、各Trのバイアス電圧も最適電
圧になるようバイアス回路抵抗を変更
・オシロで、低電圧により乱れていた波形が変更後は問題ないことを確認
・元々からあった信号レベルメーターをメインアンプ全体の電流計に改造
(本来は出力段の電流で良いが改造の容易性からアンプ全体とした)
改造後の回路図は次の通り。
5.4 ダミーロードによる動作確認
ダミーロードの抵抗値を色々変えて測定すると、5Ω程度が一番パワーが大きくて8W、
電源電流も大、しかしSWRは高い。
50Ωの場合はパワーが低く電流もほとんど流れていず、SWRが一番下がり1.1。
元々50Ω系のSWR計だから現在の測定環境では動作がおかしいのだろうと勝手に納得。
本当かな?
5.5 ローディングコイルとアンテナ
四角形のプラスチック製ゴミ箱に1.2mmのエナメル線を巻いた。手持ちの線材を巻いたので
約62回。インダクタンスを実測すると、約900μH。一応Lマッチの方針。
四角形に巻いたのは巻きやすいから。丸い形で特に太さが変わるものに巻くと巻いた尻から崩
れてきて巻き終わるのは不可能で、賽の河原。
アンテナはLW(ロングワイヤ)などいろいろ試行する予定。従ってローディングコイルも
とりあえず作った代物。
なお、ローディングコイルとカップラーは理論的役割は別だが工作では一体的に製作してい
て見かけ上の境界は定かでない。(特に現時点の工作では)
それ故ローディングコイルとカップラーをまとめてローディングコイルと呼んだりカップラーと
呼んだりする。
5.6 テスト電波と初QSO
そうこうしていると待望の免許状が届いた。適当に張ったLWをつなぎ、弱く電波を出しな
がら、ローディングコイルやコンデンサーを調整してみるが、SWRが3程度までしか落ちな
い。この測定環境だからSWR計がいい加減な指示でもしようがないだろう。
ドライブしても電流がほとんど増えない状態だが取りあえず電波は出ている。はず。
40数年前に初めて自作の7メガSSBの電波を出してアンテナに近づけたネオンランプが
点滅し感激していた記憶がよみがえってきた。そう、当時はSWR計さえ持ってなかった・・・
友とスケジュールを組み、休日になるのを待って車に積んで某クラブ局へ。そこでクラブの
リグと泣き合わせを実施し、極近距離での1stQSOができた。
このQSOデータは(本記事Ver.4.1で追記)
<2009年6月14日 10:30JST JJ3YBB(常置場所:亀岡市) 599/319 CW 当局JA3OOK/3亀岡市移動>
当局の信号は弱くてそれ以上の距離を試すのはこの日は断念。もっとパワーが入るようにしないと。
さて次の一手は・・・
6.半導体パワーアンプの改良
6.1 パワーが入らない原因(以下 本記事Ver.3.1)
ドライブしてもパワーが入らない、て言うことはパワーが出るはずがない!
状況を整理すると、
・アンテナダミー抵抗5Ω:ドライブ電圧に応じてパワーが入る
・アンテナダミー抵抗51Ω:ドライブしても少ししかパワーが入らない
・カップラーと実アンテナをつないで調整:ドライブしても少ししかパワーが入らない
(この状態で初交信は一応できた)
この状況から原因はアンプ系とアンテナ系のインピーダンスのミスマッチと推定できる。
アンプ系のインピーダンスを測定したい。文献6「トランジスタ回路の設計」に出力インピー
ダンスの測定方法(注)が記載されており、実用的であるこの方法で実測した。
結果は約3Ωであった。測定機材の制約でおおざっぱな値である。
注 ON/OFF法と呼ばれている方法
信号源電圧が内部インピーダンスと直列につないだ外部インピーダンスで分圧される
原理を利用し、両方のインピーダンスが等しい場合に1/2に分圧されること利用して
測定する。オーディオ界でもアンプのダンピングファクターを測定するときにこの原理
で測定することがある。
まず、端子に何もつながずに電圧を測定し、次にこの電圧の1/2の電圧になる抵抗
をつなぐ。この抵抗値がインピーダンスの値である。
無誘導性の抵抗を使用し、インピーダンスの高い電圧計を使用すること。
例えば高周波用無誘導性抵抗が理想的だが普通は入手できないのでカーボン皮膜抵抗
(セメント抵抗は周波数が高くなればだめ)やカーボン皮膜ボリューム(巻き線ボリュー
ムはだめ)でがまん。電圧はオシロで測定。
6.2 インピーダンスアップと結果
3Ωでは低すぎてカップラーでは対応できていないのである。インピーダンスを高めるしか
ない。1:4の変換機を2段入れれば 3Ω×4×4=48Ω で、うまい具合にほぼ50Ω
になる。
変換機には5.2項で実験し破壊してしまったが、その「伝送線路的トランス」を使用する。
過電流による破壊を予防するためにトランスの設計を見直し製作しなおした。
文献によると本アンプの電流の大きさと必要なインダクタンスからは本来FT-114-63で設計すべ
きだが日本橋でもインターネットでも入手不可能なので、やむを得ずFT-114-61で設計した。
1段目
・FT-114-61を2個重ね(AL値が2倍、電流容量は変わらない)
・0.65mmポリウレタン線をよじって12回通し
最大電流を超えるので13回以上は危険。
・バイファラー巻きで1:4変換になるよう結線
これを組み込んで実測すると出力インピーダンスは約10Ωであり、51Ωダミーで少しパ
ワーが入るようになった。
2段目
・FT-114-43を1個(本当はFT-114-61の方がましだが手持ちなし)
・0.65mmポリウレタン線をよじって9回通し
(写真省略)
これを組み込んで実測すると出力インピーダンスは約50Ωであり、51Ωダミー使用でパ
ワーが入るようになった。
再びカップラーとアンテナとをつなぎ実験を行うと、ふむふむ、パワーが入るしアンテナか
らも出て行っているように思える。思えるというのは
・受信モニターの信号レベルが高くなった
・送信アンテナから少し離れた地点の簡易アンテナでも受信できる
ことから推定。
カップラーのコイルを巻き足すとさらにパーワーが入りモニターレベルも強くなる。カップ
ラーはまだまだ改良しないといけない。
近くに相手局がいないのでこれ以上は確認できない。残念。
SWR計をつないだ状態では51Ωダミーだと1.05。素晴らしい。カップラーとアンテ
ナをつなぐとSWR最低点と受信モニターの最大点が一致しない。なんでかな?
SWR計からカップラーをはずすと2.5。本来無限大になるはず。なんでかな?
新たな、と言うか、根源的な問題になってきた。
・アンテナへ、より高い効率で給電されていることを測定する良い方法はなにか?
・カップラーも含めての最大効率とは?
SWR計で計ったSWRが低くてもカップラーで効率よく消費されていたら本末転倒
・八木やクワッドの場合、厳密にはSWR最低点が最大輻射電力点と一致するとは限らない
が超短縮GPの場合はどうなのか?
・135KHz帯のSWR計を作るべきかな?
ここでまた夜も寝ないで昼寝しながら考え込む生活が始まった。カップラーのコイルを巻き
変えたり、屋根に上ったり、怪しげなアンテナを積んでモービルしたりしながら・・・
参考
パワートランジスタからの出力の取り出しは回路図では平衡だが、比べるとわずかだが
偏りがある。原因は出力トランスの内部が対称でないからであろう。
それで、インピーダンス1:4変換機へ入るまえの接続を逆にしたり(つまり接地を逆
にしたり)、平衡から不平衡への変換を行うためにトロイダル・コアによるフロート・バ
ランを2段目のインピーダンス変換機の後ろに入れてみたりしたが、モニターレベルでの
差異は認められなかった。フロート・バランは効果より損失が心配なので撤去した。
Km単位でのQSOを早くしたい。
今日は七夕。お天気は悪そうだが雲の上の七夕さまにお祈りをしよう。そう言えば昨日すでに
七夕さまの和菓子を食べてしまった! でも残りがあるはず、それでがまんしてください。
6.3 アンテナ電流の測定(以下 本記事Ver.3.2)
正確なSWR計を作る自信が無いし、仮に苦労してSWR計を作ったとしてもSWRとアン
テナからの輻射電力とが一致するとは限らない!
考えた結果、アンテナエレメントに流れる電流を直接測定し、それを最大にすれば良いとの
結論に達した。
アンテナ電流計を作ろう。高周波電流計ですぐに思いつくのは熱電対を使った電流計。しか
し高価だし、入手も容易ではない。またまた文献4をひもとくと、載っていた。早速ありあわ
せの部品で作ったのがこれ。当局用とクラブ局用に2個作った。
有りあわせの部品で作ったので、資料4の7章 高周波電流計 に記載の仕様は守れず電流の
絶対値は読めないが、多いか少ないかは十分に分かる。
回路図はこれ。
センサーは
・FT-50-43(右側のは規格不明) 入手できるならFT-50-72かFT-82-72を使用すべき
・0.32mmポリウレタン線を15回通し
(トロイダル・コアに巻く場合の共通注意点:円周に沿って均一の間隔で通す)
・適当な銅線(5D-2Vの被覆をはがしたもの、右側のは太めの単線で写真では隠れて見えない)
をコアの中心に1回通し(5D-2Vの網線はシールドの目的で片側だけマイナス側に接続)
この電流計をカップラーとアンテナ線の間に入れて動作させると針は動くが感度が悪い。
原因はμ(透磁率)が低いコアを使用しているためであろう。しかし、十分に役立つレベルで
ある。
カップラーのコイルのタップ位置をいろいろ変えて針が一番振れる条件を探し出す。なかな
かクリチカルである。
6.4 アンプの能率の向上
これらの試行錯誤を繰り返しながら気なっているのはアンプの能率の低さである。電流は流
れるが出てくる出力が少ないように感じてしかたがない。
ここで思い当たるのは既存の出力トランス(T2)を利用していることである。動作原理はト
ロイダル・コアによる伝送線路的トランス方式と同じとしても、元々ここまで高い周波数を前
提にトランスが設計製作されていないはずだ。
5.2項での実験を振り返り、FT-114-61を使用することに決定。-61の手持ちがないので急
いでオークションで入手。少し日数がかかるが日本橋まで行かなくて済み便利になったものだ。
設計条件を精査し次の要領でダブル・バイファラー巻きの1:4伝送線路的トランスを製作し
た。
・FT-114-61を2個重ね(2個重ねなのでAL値が2倍、電流容量は変わらない)
・0.65mmポリウレタン線をよじって、24回通し分の長さプラス十分余裕のある長さを作る
・12回通し(円周に沿って均一の間隔で)て余裕の長さで切断
・先ほどの線と線の間に均一の間隔で12回通し
(ダブルなので線間の特性インピーダンスが半分)
・ダブル・バイファラー巻きの1:4変換になるよう結線
引き出し線が片側4本あるので結線を間違いやすい。結線するまえに念入りに確認する
こと。(あとからはテスタなどで確認不可能)
実測すると出力インピーダンスは8Ωくらい。これでは低いので、6.2項で作ったイン
ピーダンス変換機を接続。カップラで調整しながら変換機1段の場合と2段の場合を比較す
ると1段の方がアンテナ電流が多く能率も良いので1段とした。
期待通りアンプの能率が良くなり同じ入力でもアンテナ電流が2倍くらい多く流れるよう
になった。
本アンプの心臓部(基盤部分とトロイダル・コア)。
回路図はこれ(Rev2)。
6.5 QSOトライアル
休日に、上記の改良を施したリグやアンテナなどを車に積み込んで某クラブ局へ。到着後、
アンテナやカップラーの再調整を行ったが、ロケーションは違うがアンテナが同じせいか最良
点は変わらない。
メンバーがそろうのを待って実験開始。前回のQSOと同じ場所で前回より格段に強いこと
を確認し意を強くした。
その後、南方向と西方向の数箇所に移動しアンテナを上げてはトライ。結局QSOが成立し
た最長距離を地図で確認すると1.2Km。
この最長距離1.2KmのQSOデータは(本記事Ver.4.1で追記)
<2009年7月12日 10:45JST JJ3YBB(常置場所:亀岡市) 599/559 CW 当局JA3OOK/3大阪府豊能郡
豊能町移動>
実験後のメンバーの感想。
・少し遠ざかると急に入感しなくなる
(水が砂に吸い込まれていく感じ)
・似た距離でも方角が変わると感度差が大きい
(送受とも、意図しての指向性アンテナは使っていないのに)
・見えていても距離があると入感しない
(我々にとって、見えていれば飛ぶという慢心が当てはまらず、初心に帰った気分)
・アンテナが大事
(特に移動局には重要、固定局にとっても)
・久しぶりにワクワクした
(ラジオ少年時代にもどった)
やっとKm単位のQSOができた。これはクラブ局メンバーの協力があってのこと。それと
七夕さまにお祈りしたおかげ・・・
今後の課題はなんといっても移動運用で効率の良いアンテナ。これは常駐局についても同じ
テーマ。
6.6 関ハムでの展示とQSOデモ
関ハム(2009/07/18〜19、大阪府池田市)で1号機と2号機の展示とQSOデモを実施し、
沢山のOMと意見交換ができ、有意義であった。
7.アンテナ編
7.1 アンテナカップラー(本記事Ver.4.0)
アンテナハンドブック(文献8)には アンテナカップラーの回路例が多数記載されている。
これに記載されていないタイプも含め、いくつかを実験した結果、次の2種類の成績が良かっ
た。
・L型
常置場所で使用。真空管パワーアンプと比較的高いアンテナエレメントに接続している。
クリップAは高周波電流が一番流れる位置に調整する。
クリップAはクリティカルであり、タップがコイル1周ごとでも粗すぎるくらい。
・M型
移動場所で使用。半導体パワーアンプと比較的低いアンテナエレメントに接続している。
クリップAは高周波電流が一番流れる位置に調整する。
クリップBはパワーアンプの電源電流がディップする位置に調整する。この位置は高周
波電流が一番流れる位置と若干だが異なり、高周波電流が一番大きい位置が良いのかも
しれないが、現在はディップ位置を優先している。
クリップCはコールド側になるほどパワーアンプの電源電流が大きくなる。安全のため
に調整はホット寄りから始める。
クリップA、B、Cの位置を交互に変えて希望の電源電流が流れ、なおかつ高周波電流
が最大になる位置に調整する。
クリップB、Cはクリティカルであり、タップがコイル1周ごとでも粗すぎるくらい。
各局が用意するアンテナエレメントやアンプの出力インピーダンスなどが当局と異なり再現
性が大幅に下がると思うので、A型、B型ともにコイルの直径、巻き数などは、あえて記述し
ない。上記の2種類のアンテナカップラーも各局で使用可能かどうか心もとないが、アンテナ
ハンドブック(文献8)の回路例にない型なので掲載した。
7.2 改良型アンテナカップラー(本記事Ver.4.3)
ここまで角型の箱を利用して作成したアンテナカップラー(冒頭の3枚目の写真の青い箱)
を使用してきたが、通信距離を延ばしたいので、さらに効率がよくて、移動運用に適したコイ
ルを新規に作り直した。
前項では再現性が低いことからコイルの仕様は公開しなかったが、皆さんの興味が高いこと
から公開する。
ホームセンターを探し回り、大きくて安い漬物樽に落ち着き2個購入した。最大直径32cm、
高さ20cm強である。
コイル部分の最大直径が約30cmであり、直径1mmのUEW/ポリウレタン銅線を巻き
つけた。
・1個目:一巻き毎にタップを出し、約160回巻き。
・2個目:タップは無しで、約130回巻き。
さらに、14回巻きのコイルを、上部に回転できる構造で取り付けて、バリオメ
ータとして動作させている。
・この銅線の注文単位は1Kg巻き単位であったので、それを2個注文し入手した。
(1Kgで上記漬物樽なら200回程度巻けるようである)
大雑把な感じで言うと、1個目と2個目を直列につなぐと2倍の、2個目を1個目の中に差
し込むと約4倍のインダクタンスを得られる。
1個目にはタップが出してあり、前項のL型、M型どちらの型にも構成できる。
2個の樽を組み合わせることにより非常に幅の広いインダクタンスを得られるので、移動での
一定しない多様なアンテナにもマッチングさせることが期待できる。
この程度のコイルでも非常な高電圧が発生していて、実験途中に指が触れたらチリチリと音
がして皮膚が焦げて焦げ臭い匂いが漂った。ゴム手袋をするような慎重さが必要である。
出来上がった改良型アンテナカップラー。
7月12日の通信記録をさらに延ばすために時期を見てトライしたい。このアンテナカップ
ラーが武器になることを期待している。
8.QSOトライアル
8.1 距離5.4Km(本記事Ver.5.1 '09/10/31)
本日、距離5.4KmのQSOに成功。QSOデータは、
<2009年10月31日 12:22JST JJ3YBB(常置場所:亀岡市) 579/519 CW 当局JA3OOK/3兵庫県川西市移動>
やっと波長2200m以上の距離での交信に、ハムの原点であるCWで成功、感動した。
実は、この場所に移動してのトライアルは3回目。色々な工夫を重ねて3度目の正直で女神が
微笑んでくれた。
今回、使用したアンテナ系は送受兼用で(JA3OOK/3)、
・アンテナ本体
逆L型 垂直部分:約10m
水平部分:約20m(厳密には水平ではなくやや垂れ下がり)
・アンテナカップラー
改良型(7.2項で紹介もの)を使用(樽二個直列に接続し、差し込まず)し、
型は7.1で説明しているM型
2樽巻くのに3日がかりであったが、その成果がでた〜
・アース
車体+フェンス(人の気配なし)の手すり
JJ3YBB側の受信アンテナは、
・地上高15mのスパイダー型ループアンテナ(今回初めて架設)
送信アンテナを受信に使った場合ノイズに埋もれて聞き取れず
同日、クラブ仲間の某個人局もJJ3YBBとの間でQSOトライアルを行い、QRPP(アンプ
出力0.2W程度)で距離100mのQSOに成功した。
JJ3YBB(京都府亀岡市)の135KHz帯での記録をまとめると、
WAJA:京都府、大阪府、兵庫県
JCC/JCG:亀岡市、豊能郡豊能町、川西市
最大QSO距離:5.4Km
QSO局数:2
今回の移動場所。
稼動中のアンテナカップラー。
YBBで使用した受信専用のスパイダー型ループアンテナ。最大1.1m×1.4mくらいの長方形に
アルミ線全長70mくらいを巻いている非同調型。引き込みはあり合せの75Ω同軸ケーブル。
8.2 受信距離22.7Km(本記事Ver.5.1 '09/11/28)
YBBの信号を距離22.7Kmで受信に成功。
<2009年11月28日 14:00JST JJ3YBB(常置場所:亀岡市) 339/--- CW 当局JA3OOK/3
大阪府枚方市津田山手2丁目移動>
JA3OOK/3側の受信アンテナ
・受信専用の同調型スパイダー・ループアンテナ
最大1.1m×1.4mくらいの長方形にアルミ線全長70mくらいを巻いた同調型。
引き込みはあり合せの75Ω同軸ケーブル。スパイダー・コイルは非同調型と同じ作り。
希望周波数で最大の受信感度になるように、クリップC,Dの位置を調整する。
Cの容量はなるべく多くの巻き数(なるべくクリップDが内側)で希望周波数に同調す
る値。製作したアンテナにおいては3,200PF。
JJ3YBB側の送信アンテナ
・変形傘型(変形逆L型)
地上高20m、東北、東、東南の3方向へ5mずつ張り出した傘の骨型。今回架設。
・アンテナカップラーはN型
アンテナが変わったのでカップラーの結線を変更。これをN型と呼ぶ。アンテナが長
く大きくなったので浮遊容量が増加し、M型におけるCを使用せずとも同調するように
なった。
・調整方法
バリオメータを最大と最小の中間のLになる回転位置にセットし、クリップCとDを
当てずっぽうに適当な位置から初め、高周波電流が流れる位置を見つけ出す。クリップ
Dは非常にクリティカルで、パワーアンプの電源電流は流れても高周波電流が流れる位
置がなかなか見つからない。非常に時間がかかり、あきらめたくなるが、あきらめては
いけない。酒でも飲んで休みながら、我慢強くトライすること。
クリップCはD側になるほど電源電流が大きく流れる。過大電流を流さないようクリ
ップ位置をホット寄りから始める。
クリップC、D、バリオメータを交互に調整し、高周波電流が最大で、ディップ点で
希望電源電流値が流れる位置に調整する。
・比較
OOKの移動地点で聞き比べると、本アンテナシステムが出す電波を楽に聞き取れるが、
従来のアンテナシステムが出す電波は存在さえ全く認識できない。本アンテナシステム
が有利であることを確認できた。
★注意点
読者が製作や改造をする場合は、高電圧に感電しないように最大の注意を払うこと。死亡の可能
性が高い。および、上記に記述されている回路や製作要領を守っても再現できるとは限らないこ
とを了解の上、あくまで自己責任で行ってください。
系統図と回路図は水魚堂提供の「回路図エディタ」で作図した。感謝します。
参考文献
1 FLDX400 INSTRUCTION MANUAL
YAESU MUSEN CO., LTD.
2 SSB用受信機について JA1ACB 難波田 了
SSB・ハンドブック 第5版 昭和41年6月10日 CQ出版社発行
3 終段出力回路の設計 JA1ANG 米田 治雄
リニア・アンプ ハンドブック 初版 昭和47年7月15日 CQ出版社発行
4 トロイダル・コア活用百科 山村 英穂
第11版 1991年2月20日 CQ出版社発行
5 TSS株式会社保証事業部
http://www.tsscom.co.jp/
6 トランジスタ回路の設計 鈴木 雅臣
第23版 2007年2月1日 CQ出版社発行
7 回路図エディタ
水魚堂 http://www.suigyodo.com/
8 アンテナハンドブック
第28版 昭和56年10月31日 CQ出版社発行
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